スマートな悪 技術と暴力について

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スマートな悪 技術と暴力について

  • 著者名:戸谷洋志【著】
  • 価格 ¥1,463(本体¥1,330)
  • 講談社(2022/03発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065276822

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内容説明

いま、あなたの周りには、いったいいくつのスマートデバイスが存在するだろうか。もしかしたら、あなたのポケットにはスマートフォンが入っているかも知れない。あるいはあなたの腕にはスマートウォッチが巻かれているかも知れない。スマートスピーカーで音楽を聴き、スマートペンでメモを取っているかもしれない。スマートグラスをかけているあなたの家を、スマートロックが守っているかも知れない。そんなあなたはスマートシティに住んでいるかも知れない。
 私たちの日常には多くのスマートなものが浸食している。私たちの生活はだんだんと、しかし確実に、全体としてスマート化し始めている。しかし、それはそうであるべきなのだろうか。そのように考えているとき、問われているのは倫理である。本書は、こうしたスマートさの倫理的な含意を考察するものである。
(中略)
 もちろん、社会がスマート化することによって私たちの生活が便利になるのは事実だろう。それによって、これまで放置されてきた社会課題が解決され、人々の豊かな暮らしが実現されるのなら、それは歓迎されるべきことだ。まずこの点を強調しておこう。しかし、このようにスマートさに内在的な倫理的価値を認めることは、いささか性急であるようにも思える。なぜならそのとき、スマートさがもたらしうるネガティブな側面が覆い隠されてしまうからである。
 ……スマートさがそれ自体で望ましいものであるとは限らないのではないか。むしろ、スマートさによってもたらされる不都合な事態、回避されるべき事態、一言で表現するなら、「悪」もまた存在しうるのではないか。そうした悪を覆い隠し、社会全体をスマート化することは、実際にはとても危険なことなのではないか。超スマート社会は本当に人間にとって望ましい世界なのか。その世界は、本当に、人間に対して牙を剥かないのだろうか。
 そうした、スマートさが抱えうるネガティブな側面について、つまり「スマートな悪」について分析することが、本書のテーマだ。
(中略)
……本書は一つの「技術の哲学」として議論されることになる。技術の哲学は二〇世紀の半ばから論じられるようになった現代思想の一つの潮流である。本書は、マルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、ギュンター・アンダース、イヴァン・イリイチなどの思想を手がかりにしながらも、これまで主題的に論じられてこなかった「スマートさ」という概念にこれらを応用することで、日本における技術の哲学の議論に新しい論点を導入したいと考えている。(「はじめに」より)

目次

はじめに
第1章 超スマート社会の倫理
第2章 「スマートさ」の定義
第3章 駆り立てる最適化
第4章 アイヒマンのロジスティクス
第5章 良心の最適化
第6章 「機械」への同調
第7章 満員電車の暴力性
第8章 システムの複数性
第9章 「ガジェット」としての生
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

フム

39
出版記念としてアーレント研究の百木さんとの対談があると知り、オンラインで視聴した。日本政府は今後目指すべき未来を指し示すものとしてsociety5.0という理念を掲げ、その「超スマートな社会」の実現のため、様々な技術開発に巨額な資金を投じている。スマホに象徴される便利でスマート化された社会に不都合な事態つまり「悪」は存在しないものか、人間に牙を向かないものか、筆者は懸念する。そしてそのスマートな悪が存在した例として、アイヒマンのロジスティックなスマートさや満員電車の暴力性などを取り上げて→2022/06/28

ta_chanko

23
狩猟1.0⇒農耕2.0⇒工業3.0⇒情報4.0の次に到来する「Society5.0」の中で提唱される「超スマート」社会。その行き着く先はどのような社会か。きわめて効率的なユダヤ人迫害・虐殺システムを作り上げたアイヒマンの例を引き合いにしながら、過度な最適化・効率化の弊害を説く。「スマート化」とは、余分なものを排除し、人間があれこれ考えなくてもいいように自動的で閉鎖的なシステムを構築していくことでもある。それを防ぐには、異なる複数の価値観・世界観を「結ぶ」ことで、いつでもその間を移動可能なものにすること。2024/10/28

タカナとダイアローグ

16
図書館。ハンナ・アーレント特設コーナーより。smartって誰にとっても良い!的な思考停止への「危険性もあるよ」哲学。スマートの語源は痛みらしい。鋭い痛みに思考が支配される様が転じたとのこと。何かがロジスティクスに最大適応しているとスマートということであり、適応していないと弾かれる。アーレントやアンダースは人間の歯車化として危険視。アイヒマンは歯車としての悪。結びは、ガジェット。閉鎖性と解放性を結ぶ事。うーん哲学。戸谷先生は、誰もが自明(だとおもっている)テーマを哲学・思想の文脈で立ち止まるのが抜群にうまい2024/09/21

無重力蜜柑

15
テクノロジー全体主義批判。セールになってたから買って読んでみたけれど、ただただ陳腐。「Society5.0」や「超スマート社会」といった言葉を取り上げて現代性、実際性をがある議論に見せようとしているが、ハイデガーやアーレントやイリイチの技術論、政治哲学を取り上げてナチと結びつけて概念的な空中戦をやってるだけ。具体性がなさすぎてスマート概念の技術哲学とは到底言えないと思う。あと大陸哲学(でかい言葉)系の人間がやる「語源から解釈する」やつ、意味あるんですかって思う。2022/06/15

kubottar

14
アイヒマン裁判が面白い。スマートな悪を作るのは国家のシステムか。2022/12/22

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