内容説明
類例のない究極の入門書
本書「序」のタイトルは「なぜ、『存在と時間』についてなおも書くのか」である。『存在と時間』やハイデガーの入門と謳う本はすでにいくるもあるからだ。
だが「なぜ、なおも書くのか」と問うには勇気がいる――正面から答えねばならないから。答えはこうだ;
「『存在と時間』は一度は読んだ方がいい。そして、『存在と時間』を読みたいとこころざした人にとって、この本がかつてなかった読み方と説得力を示しているから」。
哲学徒を引きつけてやまない“現代哲学の最高峰”の読解を、自分の読書体験としてモノにするための確かな道が本書だ。『存在と時間』の鮮烈な解釈で学界にデビューした新鋭による、問答無用のニュー・スタンダード!
〈内容〉
序 なぜ『存在と時間』についてなおも書くのか
第1章 なぜ「存在の意味」を問うのに自分自身を問うのか
第2章 なぜ『存在と時間』の言葉遣いは普通の哲学書と違うのか
第3章 なぜ「主体」でも「心」でもなく「世界内存在」なのか
第4章 なぜハンマーと釘の分析が存在論になるのか
第5章 なぜ「世界は存在しない」なんて言えるのか
第6章 なぜ「手」を中心に考えるのか
第7章 「世人」とは誰のことなのか
第8章 「死への先駆」は無理な要求か
第9章 『存在と時間』に倫理学はあるのか
第10章 結局、『存在と時間』は何を成し遂げたのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
42
入門書としては評判が無いのは、読者が良く分からないという印象を持つからだ、というのが実際に読んでみた感想だ。『存在と時間』を通読してみた人が陥る図式的な思い込みを思弁的な語りで解きほぐす。『存在と時間』から目を離してみて、これは実存哲学なのか、主体という言葉を使って議論されていたのか、マルクス・ガブリエルで有名になった「世界は存在しない」とはどういう意味か、「世人」や「死への先駆」はイメージ通りだったろうか。これらの答えが予想通りだったら本書は読む必要は無いが、実際には答えに窮したり、真逆だったりする。2023/09/01
原玉幸子
22
難解と言われる『存在と時間』ですが、本書は、構成も内容も表現もとても分かり易くて良かったです。以前、M・ガブリエル『世界はなぜ存在しないか』に就き、「インド哲学的なアプローチが理解しやすいのでは」と評したのですが、本書第四・五章でのハイデガーの存在の論説が、正しくインド哲学的で、「そうやってハイデガーを理解するんだ!」と感激の吃驚でした。ただ、道具が宇宙まで関わるのはそうでも、時間も絡むのはインド哲学の存在の捉え方以上の解釈なので、この哲学は、違う表現や語義や「切り口」での再検証要。(◎2022年・夏)2022/06/03
Tatsuhito Matsuzaki
15
ハイデガーの名前を初めて見聞きし記憶したのは、高校の倫社(倫理社会)の授業でした。 覚え方は 「ニーチェ、サルトル、ハイデガー、キルケゴールにヤスパース」 前三者が #無神論的実存主義 後二者が #有神論的実存主義 という感じだったかと。 年月を経て、自身の存在と残された時間に思いを馳せた時に、やはり自分には合理主義や実証主義よりも実存主義(しかも無神論的な)がシックリくるなぁと感じました。 ところで、本の内容は?存在とは?時間とは?… …そう問う事自体が即ちその答えなのであります。2022/01/04
YT
11
紙で再読。 前半は、存在と時間を読む事前準備のような構成になっている。ハイデガー自身が日常生を分析したように、池田氏の日常の例なども非常に分かりやすくなっているし、自分で身近な例を考えてハイデガーの独特なタームに慣れていくことができる。 9章の倫理学のパートでは、ハイデガー倫理学の可能性を感じられてとても面白かった。範を示し、他者の良心となる生き方は、決定論的世界観における一つの生き方を描き出せる可能性を感じた。 最後の入門書にするつもりだったので、いざ存在と時間へ...行...けるかな。2025/03/17
buuupuuu
10
年に1冊程度ハイデガーの入門書を読んでは、まるっきり忘れてしまうということを繰り返している。そろそろそういうのも卒業したい。とりあえず、ハイデガーは存在を考えるにあたって、事物のようなあり方に還元されないよう、我々のあり方を考えるところから始めた、ということを覚えておこうと思う。それは、認識する主体ではなく、自らのあり方を気にかけてそれに関わろうとするあり方である。つまり生活し行為するようなあり方なのだろう。それは様々な関係性の網の目に投げ込まれ、網の目もろとも変化していくようなあり方である。2021/12/11
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