内容説明
18世紀ドイツでは「混合趣味」の音楽が全盛だったが、19世紀にそれは否定され、民謡の「発見」を契機に「固有で根源的なドイツ音楽」が希求されるようになった。民謡がドイツ民族の精神的基盤となるまでのドラスティックな歴史のうねりを追う。
目次
凡例
巻頭言 シリーズ「〈音楽の国ドイツ〉の系譜学」刊行にあたって
第1部 音楽の国民様式論と混合趣味――〈遅れてきた国民〉のアイデンティティ・ポリティックス
第1章 音楽の国民様式論とそのドイツでの展開
1 音楽の国民様式論の登場とその背景
2 マッテゾンの国民様式論
3 シャイベの国民様式論
第2章 混合趣味と「ドイツ的なもの」
1 フランスにおける混合趣味の成立
2 ドイツでの混合趣味論の展開
3 「ドイツの趣味」としての混合趣味
第3章 混合趣味の精神からのドイツ古典派の誕生
1 ドイツにおける器楽の発展と混合趣味
2 ヴィーン古典派と「ドイツ的なもの」
第2部 混合趣味の衰退と「ドイツ的なもの」の転換
第1章 音楽におけるヨーロッパ意識の登場と「国民的なもの」の消滅
1 グルックによるヨーロッパ音楽の統一
2 ズルツァーに見るヨーロッパ意識
3 コッホに見るヨーロッパ意識
第2章 国民的音楽の不在?――バーニーの『ドイツ旅行記』が巻き起こした論争
1 『ドイツ旅行記』の出版とドイツ人からの「宣戦布告」
2 『ドイツ旅行記』第二版以後のバーニーの対応
3 「外からの視線」の内面化を通じたアイデンティティの変容
第3章 マールプルクによる混合趣味批判
1 マールプルクによるクラウゼ批判
2 「第一のもの」としての「生まれ持った才能」――ボリオー・ド・メルメからの影響
3 「記述不可能なもの」としての国民性
4 マールプルクの民謡観
第4章 ヘルダーと民謡(ルビ:フォルクスリート)の発見
1 十八世紀以前のヨーロッパにおける民謡の文化的位置
2 「フォルク」というドイツ語について
3 初期ヘルダーの著作に見る「フォルク」
4 民謡(ルビ:フォルクスリート)との出合い――『オシアン』とリガでの体験
5 「オシアン書簡」
6 「シェイクスピア」
7 『民謡集』の構想と「英独詩芸術の類似性について」
8 普遍人間的理念としての「フォルク」――『民謡集』の射程と後世によるその書き換え
9 ヘルダーと音楽における「ドイツ的なもの」
結語 「国家でなく民族(ルビ:フォルク)」
参考文献一覧
第二巻あとがき
索引
感想・レビュー
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KAZOO
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