内容説明
エミール・デュルケムの集合意識論を批判的に継承し、フランス社会学派第2世代の中心を担ったアルヴァックス。近年、海外でも再評価が進むアルヴァックスが1925年に執筆した「記憶の社会学」の嚆矢が本書である。
社会のメンバーがみずからの過去を想起するとき、「記憶の社会的枠組み」がいかに機能するのか、過去の出来事の記憶を社会のメンバーはどう組織化し、「集合的記憶」を形成するのか、「集合的記億」は社会にどのような影響を及ぼすのか――。
アルヴァックスは本書でまず、個々人の夢や記憶などを論じるベルクソンやフロイトなどの哲学や心理学を緻密に検証する。そのうえで、「家族」「宗教」「社会階級」などを切り口に、社会集団にとって記憶が、人々を統合するばかりでなく、ときに分断もするというその社会的な機能を析出する。
記憶をどう継承するのか、歴史と社会の関係をどう考えていくのかが様々な局面で問われる今日にも、集合的記憶という視点から問題提起を差し向けるアクチュアルな古典的名著。
目次
前言
第1章 夢とイメージ記憶
第2章 言語と記憶
第3章 過去の再構成
第4章 思い出の位置づけ
第5章 家族の集合的記憶
第6章 宗教の集合的記憶
第7章 社会階級とその伝統
結論
訳者あとがき――鈴木智之
人名索引
事項索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
集合的記憶という考えの先駆者はベルクソンとデュルケムの直弟子らしい。純粋に個人的なものに見える記憶は実は社会関係における相互作用の産物。記憶の器は個人ではなく集団。だから、記憶は過去の保存ではなく現在の視点から再構築される、という現在主義的、道具主義的な主張と相性がよさそうに見える。が、その一方で記憶の持続性も指摘し、家族や共同体の集合的記憶は官僚制化や専門化によって非人格的な関係が増える近代社会で人間性を維持する島々を提供し、また絶え間ない変化を遅らせて社会の継続性を担保するという役割も期待されている。2026/02/03




