内容説明
室町幕府の権力は、足利尊氏・高師直派と、尊氏の実弟直義派に二分されていた。二派の激突は、もはや避けられない。幕府の権力闘争と南朝の動きを睨みつつ、打算で離合集散する武士たち。熾烈極まる骨肉の争いの渦中で、将軍尊氏はなぜ、佐々木道誉を欲したのか。対する道誉は、人間尊氏に何を見ていたのか――。
【目次】
第六章 花一揆
第七章 橋勧進
第八章 騒擾やまず
第九章 無窮
第十章 尊氏は死なず
解説 大矢博子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
如水
28
下巻のメインは尊氏側(北朝)の内乱勃発!でしょう。客観的に見てもカオス💦北朝側の武将が南朝へ…しかもあの人が…みたいな。その中で佐々木道誉は粛々と時には断固として旧体制に立ち向かう。『腐ったものには、蛆虫がたかる』→バサラと言われてもやっている事に意味が有る、それが過激に見えるだけ。この小説は尊氏死去迄の話ですが、その後は絶大な権力を誇ります。ただ辞める時はスパッと辞めたもよう。う~ん、潔い。『わしが、わしに命じた。異存があるなら、後日聞こう。ただし、心せよ…わしは、佐々木道誉だ』凄い殺し文句👍2022/08/28
フク
15
#読了 冒頭から両頭体制の綻びが見え、気づけば兄弟喧嘩は誰にも止められなくなる。つらいです。 観世丸と犬王の存在が癒し。 kindle2022/12/18
TheWho
11
下巻に入り観応の擾乱を尊氏の弟の足利直義、足利氏の執事の高師直の争いを軸に冷徹な足利尊氏と、それを傍観し対処する強かな佐々木道誉を語っている。日本史上特に複雑怪奇で暗い印象がある南北朝騒乱の時代を本作品では、佐々木道誉を軸に語られている所は、一面痛快でありながらルネッサンス期の欧州の様な武力と陰謀の歴史を彷彿させられた。そしてルネッサンスと同じく観阿弥や道阿弥を登場させる事により、争乱期の芸術の勃興を描いているとも思えた。魅力的な人物としての道誉を体感できる面白い物語です。2023/05/26
Francis
10
下巻では尊氏だけでなく、尊氏の子義詮も登場。義詮がここまで描かれた小説は珍しいのではないか。義詮は最近の研究では評価が高まっているので、北方氏がその辺りの事情を反映させたのかも。道誉も、尊氏も、義詮ら多くの登場人物が良く生きるのが難しい時代の中、良く生きるために精一杯自らの力をぶつけ合う。その有様が上手く描かれているのが本書の魅力。自分にはとてもそんな能力はないのだが、出来る事なら道誉公のようにばさらに生きてみたいと心から思う。2022/03/19
coldsurgeon
8
佐々木道誉という武将は、一筋縄ではいかない男だ。南北朝時代という定まらない世をもつ時代を、未来を見据えるわけでもなく、世が収まる姿を思い描く訳でもなく、今まで自分が立っていた場を壊そうと生きている。それが「ばさら」なのだも知れない。足利尊氏ととの友情のような張り合うような不思議な縁に導かれ、室町幕府の基盤づくりに関わっていくのである。室町時代当初から戦国時代であり、世の中のシステムを壊して作り直そうとする気運に満ちていたのではないか。道誉の生きざまが、まさにそうであった。2022/11/30
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