岩波ジュニア新書<br> 憲法読本 第4版

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岩波ジュニア新書
憲法読本 第4版

  • 著者名:杉原泰雄
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2022/02発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005007684

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内容説明

〈憲法がはっきりと認めていることがらについて,憲法がはっきりと認めている方法でしか,権力者は政治を行うことができない〉という「立憲主義」の解説から始まる,日本国憲法の定評ある入門書の最新版.憲法改正への声の高まる今,人権保障,権力の民主化,平和主義など世界に誇れる現憲法の考え方を深く学ぼう.

目次

読者のみなさんへ 第4版のはしがき┴I 現代社会と立憲主義┴1 現代のリバイアサン┴政治とわたしたちの生活┴2 立憲主義のあゆみ┴1 立憲主義とは┴権力の濫用を阻止するために┴2 憲法が保障するもの┴基本的人権とは/近代市民憲法の人権保障/現代市民憲法の人権保障/国民主権の原理/権力分立/平和主義/現在と軍拡┴3 よりよき立憲主義のために 第I章のまとめ┴人類の歴史的歩みの特色/近代市民憲法の登場/二つの現代憲法の登場/「大競争」のあっけない終わり/憲法の歴史における「第三の転換期」┴II 日本の立憲主義のはじまり 大日本帝国憲法(明治憲法)┴1 明治憲法の誕生┴憲法が必要になった/準備段階/草案から公布へ┴2 明治憲法はどんな特色をもっていたか┴近代的な要素/前近代的な要素┴3 明治憲法はどのように運用されたか┴超然内閣の強行/政党内閣の誕生/強権政治へ/悲惨な民衆の生活┴III 日本国憲法の制定┴1 日本国憲法の誕生┴ポツダム宣言の発表/遅れた受諾/国民の生命を犠牲にして/戦争責任のとり方/「憲法を改正する必要はない」/マッカーサーの指示/松本案と総司令部案/「憲法改正草案要綱」/総司令部が急いだ理由/政府の本心/一般国民の対応┴2 日本国憲法の制定はどのような意義をもっているか┴反省のうえに/人類の歴史的努力の成果/未完の市民革命┴IV 日本国憲法のしくみ┴1 戦争の放棄┴1 なぜ人権保障の前か┴近現代の市民憲法における軍隊と戦争の位置/伝統的な軍隊・戦争観の破綻/明治憲法下の戦争経験┴2 あらゆる戦争の放棄とあらゆる戦力の不保持┴平和主義の宣言/第九条第一項の解釈/第九条第二項の解釈/第九条の求める日本の安全保障┴3 第九条で日本はやっていけるか┴再軍備論の問題点┴2 基本的人権の尊重┴基本的人権とは┴1 自由権とはなにか┴身体の自由/精神の自由/経済活動の自由/その他の自由/包括的自由権の保障┴2 社会権とはなにか┴(1)生存権/(2)教育を受ける権利/(3)勤労の権利と勤労基準の法定/(4)労働三権┴3 受益権とはなにか┴(1)請願権/(2)国や地方公共団体に対する損害賠償の請求権/(3)裁判を受ける権利/(4)刑事補償請求権┴4 参政権とはなにか┴(1)公務員の選定罷免権/(2)普通選挙の保障/(3)投票の秘密と投票について責任を問われないことの保障/(4)参政権にかんするその他の保障┴5 平等権(法の下の平等)┴6 基本的人権の限界┴内在的制約論/憲法による特別の制限┴7 刑罰による基本的人権の制限┴被疑者・被告人の場合/有罪で刑を受けると/適法手続主義/逮捕と抑留・拘禁/捜索・押収/拷問と残虐な刑罰の禁止/被告人の権利/自白についての保障/第三九条の保障┴8 国民の義務┴(1)保護する子女に普通教育を受けさせる義務/(2)勤労の義務/(3)納税の義務┴9 現代社会と基本的人権┴(1)外国人の人権/(2)国民と国民の間における人権保障/(3)新しい人権┴3 国民主権と議会制民主主義┴国民主権の政治/国民の役割/議会制民主主義の条件┴4 権力の分立┴1 国会┴明治憲法下では/国会の組織と権限/国会の活動/国会議員の特権┴2 内閣┴明治憲法下では/内閣の組織と権限/議院内閣制/内閣政治┴3 裁判所┴明治憲法下では/司法権の独立のために/裁判所の組織/違憲審査制度┴5 地方自治の保障┴明治憲法下では/地方自治はなぜ必要か/地方自治の本旨/地方自治のしくみ┴6 象徴天皇制について┴V 日本国憲法はどのように運用されてきたか┴二頭だての馬車┴1 解釈改憲の政治┴世界で有数の軍隊へ/駐留米軍/合理性を欠く第九条の運用/基本的人権の過度の制限/ゆがんだ選挙制度/信頼を失う議会/瀕死の地方自治┴2 明文改憲を求める政治┴新たな動き┴3 「二頭だての馬車」の要因┴VI 日本国憲法を国民の手に 主権者・国民の出番┴参考文献┴日本国憲法

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

30
モンテスキュー『法の精神』:権力者は権力を濫用しがち。ジェファーソン:自由な政治は、猜疑に基づいて建設。権力を託す人を憲法で拘束するのは、猜疑に由来(6頁)。日本国憲法とは、人類の史的努力の成果(103頁~)。憲法を自分のものとし、政治を監視するようになるとき、日本の現代市民革命は完成する(107頁)。なによりも重要なことは、核戦争・ミサイル戦争の時代には、どんな軍備をもっても、国家の独立と国民の権利・自由を守ることができないこと(123頁)。学問の自由:知は力です(135頁)。2016/01/10

coolflat

14
91頁。GHQは新しい憲法の制定を急いでいた。なぜ急いだのか。GHQの態度は「押し付け憲法」の非難を受けかねないものだったが、これがやがて「押し付け憲法論」の口実となっていく。天皇制を廃止せずに修正してうまく利用しようとしたアメリカにとっては、他の連合国が我慢できるような新しい天皇制を急いで設ける必要があった。オーストラリア、ソ連、ニュージーランド、フィリピンなどは、明治憲法の天皇制のうちに侵略戦争の根本原因を見出して、天皇制の全面的な廃止(共和制)を主張したり、天皇を戦争犯罪人として指名したりしていた。2023/07/27

よしひろ

8
憲法の持つ力がその国の国体を作り、自衛隊や平和の関係も作り出していく。2016/04/07

NICK

7
憲法9条がどうのこうのとたびたび話題になるが、そも憲法とは何か。近代以降の市民国家における憲法成立の歴史やその意義、帝国時代の憲法の解説から戦後憲法の運用まで、ジュニア向けレーベルでありながら憲法についての基礎的な知識を包括的に獲得できる便利な一冊。近代的な憲法は本来ならば権力の暴走を防ぐための、いわば下(主権者たる国民)からの要請なのだが、ドイツや日本といった近代化後発組は上(権力者)からの近代憲法を制定した。丸山眞男にも通じるこの「上から」の政治は、まさに今現在においても課題となり続けているだろう2016/01/11

Takao

5
2014年3月20日発行(初版)。1981年に「初版」、1993年に「新版」、2004年に「第3版」が発行されている。この30数年の憲法をめぐる環境の変化はまさに「激変」しているが、日本国憲法制定に至る戦前の歴史はどうだったのか、政府の行為によって日本はどのような「戦争の惨禍」を経験したのか、日本国憲法の「原点」は一体なんだったのか大切に考えたい。そんな読者にはうってつけのコンパクトな著書だ。中高生にとってはやや難しいかもしれないが、教科書の記述では補いきれない「原理」について学ぶことができるだろう。2017/10/08

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