ちくま学芸文庫<br> 日本資本主義の群像 ──人物財界史

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ちくま学芸文庫
日本資本主義の群像 ──人物財界史

  • 著者名:栂井義雄【著者】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 筑摩書房(2022/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480510723

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内容説明

近代日本経済の礎はいかにして築かれ、発展していったか。渋沢栄一、岩崎弥之助、住友吉左衛門、団琢磨、池田成彬、鮎川義介など、明治維新から太平洋戦争終結までに活躍した、日本実業界の巨頭10人の活動を通して描く。巻頭の1章「概観 日本財界小史」は、卓抜な近代日本経済史ともなっている。財閥研究で知られる経営史研究者が、広範な読者に向けてものしたリーダブルな一冊。登場する財界人の自伝・伝記一覧など、関連資料を付す。

目次

はじめに
概観 日本財界小史
「財界」の定義とその変遷 本書でいう「財界」 日清戦争と財界 富豪への論功行賞 日露戦争と財界勢力の躍進 日本工業 楽部の創立 日本の国際的地位向上と経済連盟の結成 財界の確立と財閥体制の背景 全国的雇主団体の形成とその後の財界 本書の構成
1 渋沢栄一=初期日本資本主義の指導者
指導者型企業家・渋沢栄一 第一国立銀行と渋沢栄一の関係 銀行経営者・銀行指導者としての渋沢 産業企業の経営と育成 渋沢の政商・財閥育成 財界オピニオン・リーダーとしての渋沢
2 岩崎弥之助=明治期三菱の支配者
「政商」としての三菱 三代つづいた三菱系日銀総裁 威張りぬいた川田日銀総裁 日銀大総裁としての岩崎弥之助 岩崎弥之助と政界・政治家 政界黒幕としての岩崎弥之助 三菱と日清・日露両戦争
3 中上川彦次郎=明治期三井の改革者
「政商」としての三井 中上川彦次郎の出自と経歴 三井資本の工業化 三井事業体制の整備 中上川による改革の意義 専門経営者時代の先駆
4 住友吉左衛門=明治・大正期住友の象徴的君主
「政商」としての住友 広瀬宰平と伊庭貞剛 住友十五代家長 権門と豪富の結合 住友吉左衛門の社会的活動 友純時代の住友の発展 西園寺公望と住友
5 団 磨=財閥支配確立期の総資本代表
団 磨と、その六年の米国留学 団 磨、三井に買取られる 総帥として三井の黄金時代を築く 総資本代表としての団の活動 満州事変への団の対応 日中全面戦争化を憂慮した団 財閥の財界制覇と政・財界の連  三井と政友会
6 池田成彬=戦時下軍部との宥和と抗争
銀行家としての池田の権勢 池田、「三井の総帥」を継ぐ 「軍財抱合い」で政界上層へ 財政家・政治家としての池田 対英米戦争に反対 東条英機との抗争
7 小倉正恒=戦時下住友財閥の指導者
住友における立憲番頭政治 歴代の法学士・官僚出身総理事 住友マンとしての小倉正恒 総理事としての小倉正恒 軍需素材財閥の確立 新事業分野への進出 海軍秘密工場の新設 小倉正恒の政界入り 住友の伝統精神と戦争協力
8 岩崎小弥太=戦時下三菱財閥を陣頭指揮
岩崎小弥太の三菱支配とその背景 岩崎家の財力と本社株の公開 岩崎小弥太の幕僚たち 小弥太による「財閥」形成 巨大化した三菱財閥 岩崎小弥太、戦時下の「所期奉公」 三菱財閥の戦争協力
9 鮎川義介=対ソ戦基地満州への進出
「新興財閥」の雄・鮎川義介 日産コンツェルンの形成過程 多角経営の定着 日産の満州移駐 満州重工業開発の軍事的意義 満州重工業開発の失敗 鮎川義介の残したもの 日米戦争への鮎川の態度
10 中島知久平=軍用機製造で戦争に貢献
「航空機戦策」に賭けた生涯 飛行機王への道程 中島飛行機への国家資本の投入 中島飛行機の急激な膨脹 戦争への中島知久平の貢献 中島知久平の見果てぬ夢
文献紹介──財界人物列伝と登載人物の伝記類
文庫版解説 戦前財界を彩った企業人たち 武田晴人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

🍭

6
日本近代財界史入門。申し訳ないんですがせめて初めて出てくる人名にはルビを振って欲しいです…… 次の紙幣の肖像画に渋沢栄一が選ばれた時分に買っておいたんですが、人物を中心に語りが進められるのに今一つ頭に入ってこなくて読み終えるまでに時間がかかってしまいました。日本についてそろそろ調べていこうと思うんですが、ちょうど百年前が情報の有無の境目になるので古い文章を読むことに慣れていかないとだめですね。紀田順一郎の『東京の下層社会』を読んだ時に知った方がいい日本の姿があるなと感じたので、それを大事にしたいです。2022/10/27

Mealla0v0

4
本書の冒頭でまず、「財界」とは「経済におけるパワーエリートによって構成される社会」と定義される。財界の発展は日清・日露・第一次という戦争と相携えるものがあったが、それは初期の戦費調達(金融)から第二次の軍需生産(重工業)まである。殖産興業を民間において先導した渋沢栄一から、三井・三菱・住友などの財閥、そして新興財閥が取り上げられている。財閥は藩閥から政党までを通じて隠然たる政治力を持ち、戦争体制構築へ向かうなか、自らの利益を確保しつつ戦争協力を図った。新興財閥はとりわけ戦争において躍進した。2022/07/31

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