内容説明
近代国家日本の始まりは宗教にどう影響したのか。そもそもの「宗教」概念の成立から神道の変容、仏教・キリスト教・民衆宗教の近代化まで、関連する宗教現象を網羅する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
2
江戸末期から明治前期にかけて起きた宗教的な変化がそれぞれの視点から描かれる。複数の論文において登場するのは、神道が宗教か否か、キリスト教への対抗、憲法上の信教の自由との関係、民間信仰が国家神道に取り込まれる過程、真宗と政府との立ち位置、本居宣長や平田篤胤の影響力の強さなど。色々な主題を扱っているが、専門家向けなのか、もう少し幅広い読者を想定しているのか、よくわからなかった。研究史や文献情報が多いのはよかった。2021/08/21
はるたろうQQ
1
明治維新前後の浄土宗の活動、特に北海道への開教活動について勉強したいので、その一環として手に取る。直接的に書かれたものは無かったが、「新宗教の誕生と教派神道」は寺社と講の関係の変遷について、「胎動する近代仏教」は政府の宗教政策と教団の近代化について参考になった。明治維新期の仏教はやはり長州との繋がりから浄土真宗がメインになってしまう。なお、第1刷を読んだが、残念ながら193頁と242頁に年号の誤りがある。それぞれ1938(天保9)年、1973年としているが、時期的に明らかに1838年、1873年であろう。2024/03/05