ガガガ文庫 公務員、中田忍の悪徳 ２

著者名：立川浦々【著】/楝蛙【イラスト】

小学館（2021/12発売）

• ISBN：9784094530445

内容説明

異世界エルフとの衝撃の邂逅からその先へ。

　区役所福祉生活課支援第一係長中田忍は、ある一つの悪徳を犯している。
　穏和な生態と柔和な笑顔がかわいい、言葉の通じぬ異世界エルフ“アリエル”を秘密裏に保護し、生かし続けていることだ。




「オカエリナサイ、シノブ！」

　アリエルと過ごす、慎ましくも穏やかな日々は、むしろ忍の罪悪感を苛み。

「変わらないでください。忍センパイ」

「僕は忍に、変わって欲しいと思う」


　支えてくれる理解者たちは、それぞれの思惑から、忍の信義を惑わせる。

　折しも季節は冬、十二月。

　クリスマスの足音が、アクアリウムの外側へ響き始めている。

　そんなある日、区役所福祉生活課支援第一係を訪れた、謎の幼女。

「はじめまして、ぱぱ！！」

　元気いっぱいに抱き付いてきた見知らぬ幼女を、忍は迷わず警察へ突き出すが――


　衝撃の邂逅からその先へ、コメディ？ シリアス？ よもや……ラブ？　分類不能の話題作、待望の第二幕！

※「ガ報」付き！

※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[なっぱaaua]

物語は淡々と進むが、中田忍が考える「フランダースの犬」の別の世界線の話とかもみの木の代用品の話とか能楽のプチ知識が手に入るお話しでもある。国民は勤務時間中に業務を片付けられない公務員を責めるのが好きとか「アリエルが良い生活を送れると思うほど、俺はこの国を信頼していない」という中田忍の言葉とか、日本酷いなｗ　中田忍と一ノ瀬由奈は信頼関係が築かれたとみるべきだろうが、若月家にバレたところとか終盤の前振りとか徐々に平穏で無くなってくるのは必然と言える。アリエルどうなる？

2023/04/08

[オセロ]

少しずつ言葉を覚え出したアリエル。そんなアリエルを相変わらず真面目過ぎるくらいにお世話する中田忍をお父さんと呼ぶ幼女・星愛姫(てぃあら)が現れた一方で忍はとある決断を迫られる…。忍の真面目過ぎる性格は一周回って面倒くさいレベルなのにアリエルへの愛情が感じられるもので。そんな忍の変化とアリエルが星愛姫に教わった言葉にはジーンときましたが、ところどころで笑わせてくるからクセになるw

2024/02/11

[のれん]

まさしく鬼才たる唯一無二という言葉が当てはまるだろう。 誰かのための「義務」で自分を縛る行動を続ける限り、変化することもあればしないこともある。 果たして人間らしい生活とはどういうことだろうか。金でも安全だけでもない文化的な生活とはどう保証するのだろうか。 福祉公務員という社会から叩かれまくる視点で人間関係の歪さを指摘。その場に居ない誰かを笑う世間話、だんだんと鈍感で可愛くなくなる夫婦、そして被害を受ける責任能力のない子供たち。 それでも呆れるぐらい愛を肯定する展開や、 (1/2)

2022/03/20

[羊山羊]

1巻より尚、お仕事社会派ラノベとしての性格を強くしての第2巻。フツーに22時台のN○Kのドラマで連載できる。福祉生活課、NPO法人と困窮者支援の過酷な現状をひょうきんな展開に乗せてさりげなく演出しつつ、家庭問題の難しさまでを描きぬく中で中田忍のぶっ飛んだ思考センスが仕事には真面目に、アリエルには爆笑の展開を誘い込む。マジで実写化しないかなこの本。

2022/03/12

[彼方]

自室に突如現れた言語が通じない異世界エルフとの同居生活。秘密裏に保護するも堅物な中田忍は日々罪悪感に苛まれる中、クリスマスがやってくる第2巻。生活が変化した忍に寄り添い助言を呈する友人たち、苦悩しながらもきちんと向き合い結論を出す忍が頼もしい。図鑑やご馳走にはしゃいだりキュートで幼いアリエルの言動が可愛らしくも、昔馴染みが福祉課に絡んできた関係で多少存在が広まったりと…割と綱渡りに感じられてひやひやさせられますが、次巻から一気に展開が動きそうな幕引きとなっていて…アリエルに不幸が訪れないと良いなぁ…。

2021/12/22