あいつゲイだって - アウティングはなぜ問題なのか?

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あいつゲイだって - アウティングはなぜ問題なのか?

  • 著者名:松岡宗嗣
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 柏書房(2021/12発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784760154272

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内容説明

2021年11月は「一橋大学アウティング事件」の控訴審判決から1年にあたる。「パワハラ防止法」により、2022年4月からは中小企業でもアウティングの防止対策が義務付けされることになっている。

なぜアウティングは「不法行為」と判断されたのか? そもそもなぜ、性的指向や性自認といった個人情報の暴露が「命」の問題につながってしまったのか?

実は、一橋事件の前からこうした被害は起きていたし、現在も起きている。学校や職場などの身近な人間関係、不特定多数に瞬時に情報を発信できてしまうネット社会において、誰もが加害者にも被害者にもなり得るのだ。

校舎から飛び降りたのは、私だったのかもしれない――。勝手に伝えることが誰かの「命」を左右する瞬間を、痛みとともに、ひとりの当事者が描き出す。

一橋事件を一過性のものとせず、被害を防ぎ、これ以上「命」が失われないためにも、いま改めて考えたい「アウティング問題」の論点!

■「アウティング」とは?
本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露すること。

■「一橋大学アウティング事件」とは?
「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ」。一橋大学大学院のロースクールに通うAがゲイであることを、同級生ZがクラスメイトのLINEグループに同意なく暴露。心身に変調をきたしたAは2015年8月、校舎から転落死した。翌16年、遺族が学生Zと大学に対し損害賠償を求めて提訴。20年11月の控訴審判決では、本人の性のあり方を同意なく勝手に暴露するアウティングが「不法行為」であることが示され、世間的にも「アウティング=危険な行為」という認識が広まるきっかけとなった。地方自治体だけでなく、国レベルでも大きな影響があった。

■目次
はじめに
第一章 一橋大学アウティング事件――経緯
第二章 アウティングとは何か
第三章 繰り返される被害
第四章 一橋大学アウティング事件――判決
第五章 アウティングの規制
第六章 広がる法制度
第七章 アウティングとプライバシー
第八章 アウティングの線引き
第九章 アウティングのこれから
終章 アウティング、パンデミック、インターネット
おわりに

■著者プロフィール
松岡宗嗣〈まつおか・そうし〉
1994年愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、HuffPostや現代ビジネス、Yahoo!ニュース等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。2020年7月、LGBT法連合会・神谷悠一事務局長との共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)を出版。近著に『「テレビは見ない」というけれど--エンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーから読む』(青弓社)、『子どもを育てられるなんて思わなかった--LGBTQと「伝統的な家族」のこれから』(山川出版社)。本作が初の単著となる。

目次

はじめに
第一章 一橋大学アウティング事件――経緯
第二章 アウティングとは何か
第三章 繰り返される被害
第四章 一橋大学アウティング事件――判決
第五章 アウティングの規制
第六章 広がる法制度
第七章 アウティングとプライバシー
第八章 アウティングの線引き
第九章 アウティングのこれから
終章 アウティング、パンデミック、インターネット
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

J D

56
 小説と思い読み始めたら全く違った。ジェンダーに関する学術書。と言っても読みやすくわかりやすい。アウティングとは、「本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露すること」これまであまり関心のなかった問題だったが、事例と著者のブレない論理展開に惹きつけられ読めた。国によって対応は異なるが、ジェンダーの多様性を受け入れる姿勢はその国の成熟度を示していると考える。特に、人の命が関わる問題であればあるほど。日本はまだまだ道半ばだと感じた。現代社会の抱える問題を知るには良い本でした。2022/08/18

がらくたどん

43
ゲイであることをオープンにしながらジェンダー多様性について情報発信している著者による「カミングアウト」と「アウティング」についての基本的な要件をまとめたガイドブック。「アウティング」の定義(本人の「機微な個人情報」を同意なく第三者に伝えること)から当事者・所属コミュニティーの成員が注意すべき点をとてもわかりやすく説明してあり、少なくとも社会人の一般教養だなと思った。機微な個人情報は性的特性だけではない。病歴・障がい・出自。もしその共同体がその情報をマイナス要因と扱うならそれは「機微な情報」になりうるのだ。2022/03/13

たまきら

37
カミングアウトとアウティングの違いを丁寧に説明する冒頭からある青年の自殺。その後の社会の変化と著者の考察…と、身近にゲイの人がいない人にもくみ取りやすい内容になっていると思います。また、アウティングを性的嗜好だけではなく、人種(ハーフ)なども例に挙げています。身近では離婚調停中の状況などをどう周囲に説明すべきか悩んでいる人もいて、個人と社会間にある温度差の多様さに考え込んでしまいました。ただ、どのような立場をとろうとも、孤立してほしくない…そう強く思いました。2022/09/20

ゆきらぱ

33
難しい問題だった。アウティングによるたくさんの事例が載っていてほとんどがこれは無知からくるものだなと思う。事の重大さをわからずに広めてしまう事の恐ろしさ。ただ一橋大学の件はどうだろう。ゲイであるA君のアウティングをしてしまったZ君も追い詰められてしまっていたような気がする。相手をリスペクトしながら断ったにも関わらず、それ以降もしつこくされる。正常な判断は出来なかったのではないか。A君の自死でくるりと被害者の立場が一転した。ここがハラスメントの怖さで結果Z君をA君ですら望んでいない立場に立たせてしまった。2022/10/31

katoyann

25
一橋大学アウティング事件を事例として、「本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露すること」を意味するアウティングの危険性を訴えた本である。一橋大学の事件は、同級生に告白した男性がアウティング被害に遭い、強い精神的なショックを覚え、キャンパスの屋上から転落死するという悲劇的な事件であった。マイノリティにとって差別と偏見の蔓延る社会では、セクシュアリティについての自らの情報が命を左右することがある。本書では性別違和のある幼稚園生がアウティング被害により不登園になる事例も紹介されている。アウティングは人権侵害だ。2021/12/10

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