内容説明
明智光秀の娘で、細川忠興の妻、ガラシャ。関ケ原合戦直前に命を落とした生涯と死後に広まったイメージを史実から客観的に検証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
22
ガラシャちゃんといえば、キリシタンで…というイメージがまず来るんだけど、江戸時代には幼い子どもたちをまず殺し、それから自らも家のために自害したという烈婦イメージで語り継がれてきたというのが意外。そこに宣教師がバカでっかく大風呂敷を拡げ、ヨーロッパに伝わった「美貌の殉教者」というイメージが逆輸入され混在し、今のガラシャ像がつくられたとのこと。盛ってあんだろうなとは思うんだけど、忠興の「仏僧の力は夫人の魂に何らの効果も与えることができない」からキリシタンの儀式で葬儀をしたいという言葉はやっぱ沁みるわ…。2021/12/19
MUNEKAZ
14
「謀反人の娘」という十字架を背負った実像と、後世に語られる「細川ガラシャ」像の成立に着目した一冊。お家のために散った「節婦」「烈婦」という江戸時代の評価と、迫害に耐えた「美貌の殉教者」というヨーロッパでの語られ方が明治時代に融合し、現代のガラシャ像が出来たというのは面白い。日本とヨーロッパ、それぞれのイメージの中で何が現代まで受容され、何が捨てられてきたのか。一人の女性が時代を超えて語り継がれるなかでの変遷は、歴史上の人物の評価を考える上で示唆に富んでいる。あと忠興は、現代の評価だとモラハラ夫間違いなし。2021/11/02
kenitirokikuti
13
図書館にて。明智光秀の娘であり、細川忠興に嫁いだ「ガラシャ」という洗礼名を持つ人物。本能寺の変により、謀反人の娘となるも、後半生には受洗してキリシタンとなり、関ヶ原の戦いの2ヶ月前に西軍の人質となるのを拒み、命を投げ出す。明治の半ばまで、この関ヶ原の戦いの最初の方のエピソードで知られた。明治後半から、海外で出回っていたお話が環流する。信仰を守って殉死した、丹後の王妃グラーチア。そして、時代の荒波に翻弄された女、というイメージが投影される(実子を道連れに殉死とか殉教死といった尾ひれはそこから落ちる)。2022/01/21
Toska
11
多数の史料や先行研究と格闘し、本人没後の語られ方の変遷まで視野に入れた本格的評伝。ガラシャはかつて禅宗に傾倒した形跡があり、宗教的な素養と明晰な頭脳の持ち主だったことがうかがわれる。一方、謀反人となった父を敬慕し続け、死の間際まで忠興の側室を拒否するなど激しい性格も垣間見え、悟りすましたイメージはかなり修正された。一般のガラシャ像は多くの面で「つくられた」ものだが、彼女自身が恐ろしく魅力的な人物であることに変わりはない。2023/02/06
フランソワーズ
10
現時点での、細川ガラシャ研究の最前線。主にガラシャを扱った著作を考察しながら、著者自身の私見を著述しています。ですので、内容的には重複が見られますが、それはそれでガラシャ研究の概説書ということで便利だと思います。2021/11/22




