人という怪物 下

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人という怪物 下

  • ISBN:9784488010034

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内容説明

ヴァイオラが乗ってきた移住船が、この星に着陸する日が迫っていた。大勢の移住者がやってくるのだ。だが、スパクルと人間は一触即発の状態が続き、人間のあいだでも権力を独占しようとするプレンティス総統と、爆弾テロも辞さぬ反政府組織の指導者ミストレス・コイルは互いを信用せず、共通の敵を前に結束できずにいた。なんとかスパクルと人間との和平をまとめようとするトッドとヴァイオラ。一方スパクル側には意外な情報源がいて……。巻末に付録短編「新世界(ニュー・ワールド)」を収録。カーネギー賞受賞。『怪物はささやく』の著者が贈る、驚異の三部作完結。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェルナーの日記

282
”Chaos Walking Trilogy #3"(混沌の叫び 3部作)の最終巻。本シリーズにおいて貫かれたテーマは”ノイズ”だった。惑星ニュー・ワールド特有の病気で感染すれば、自分の思考が周囲の者たちに露見してしまう。ただ女性には、この症状は起きず男性の思考は伝わってくるという病だ。この設定をもとに男女の性差(フェミニズム・ジャンダー)による問題を提起してお互いに不信感を抱かせ戦いを起こしている。 また”ノイズ”とはないか?作者はある種の”情報”と提示した。 2017/05/19

nightbird

9
世界を苦しめてる悪の勢力を倒せば平和になる、みたいな話は山ほどあるけど、このシリーズは違う。そもそもどの勢力も正義じゃないし完全な悪でもない。3つの勢力全部が加害者で同時に被害者で、みんながお互いに対して憎しみと被害感情と恐怖を抱いてる。それでもみんな同じ星の上で生きていくしかない。そしてヒーローとヒロインは「敵を倒す」のではなく、あくまでこの全員をまとめてなんとか和平に持っていこうと最後の最後まで必死で奔走する。心が張り裂ける思いをしても、自分の憎しみを抑えこむ。この時代に読まれるべき物語。傑作。2013/11/04

oyasumi

7
第一部「心のナイフ」第二部「問う者、答える者」第三部「人という怪物」全編を通じて、息が詰まりそうな緊張感が漂う世界。戦いは、ある者が他者を支配するため、支配に抵抗するため、自分あるいは誰かを守るために続く。その戦いを終わらせることはできるのか。人の弱さ、強さはどこから生まれるのか。人は、他者に対する怒り、憎しみを乗り越えることができるのか。現実の世界では、答えは分からないし解決の糸口すら見つからない。でも、この物語には、いつか答えは見つかるかもしれないと思わせてくれる何かがあった。2016/02/07

AR読書記録

7
終わった... しばし放心のレベルで苦しい物語でした。けしてハッピーエンドではない。現在の、そして過去の人間を見るに、許しあって、理解しあって、仲良く生きるという未来は描きえない、と著者が考えているなら、つらい。ただ、間違いを犯しても、やり直すことができるというのは、力強いメッセージ。とはいえ、それも、現代は間違いを起こす可能性が増しているということが前提と考えられているなら、やはりつらい。ところでね、スパクルの繋がり方。そして星との繋がり。と考えてたら、なんかFF7を思い出したりしたんですが。なんでや。2016/01/03

み~くま

7
これをハッピーエンドと言ってよいのでしょうか・・・( ̄(エ) ̄||| でも、少なくとも未来に希望は残してくれた気がします。権力闘争の末に、多くの犠牲を出した大人たちは消えました。今度は、ラストに登場した若者たちが新しい世代を担うはず。あらゆふ壁を取り払い、今度こそ希望にあふれる「新世界」を築き上げてくれることを願って止みません。最後に一言・・・これ、絶対にYA小説じゃないから。(´д`lll) 2013/10/06

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