孤立の社会学

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孤立の社会学

  • 著者名:石田光規
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 勁草書房(2021/10発売)
  • ポイント 28pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326653683

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内容説明

つながりは人びとが生きてゆく上で必要不可欠なものであり、その欠損は人びとの生命をも脅かす。本書は、官庁統計、質問紙調査、聞き取り調査によって得られたさまざまなデータを駆使して、日本社会の人間関係および孤立の実態に迫っている。そこから抽出されたのは、家族、格差、ジェンダー、地域といった日本社会に潜む構造的問題であった。

目次

はじめに

第I部 日本社会の人間関係

第一章 「無縁社会」が見せたもの、見せなかったもの
 1 流行現象としての「無縁社会」
 2 「無縁社会」の背後に潜む二つの言説
 3 「無縁社会」の諸問題

第二章 日本社会における中間集団の変容
 1 人間関係にまつわる二つの言説
 2 「解放」される人間関係と「剥奪」される人間関係
 3 日本社会の人間関係
 4 日本社会の人間関係と連帯のゆくえ

第II部 孤立に潜む諸問題

第三章 誰にも頼れない人たち
 1 第II部の指針
 2 社会における孤立の問題
 3 JGSS二〇〇三の概要
 4 孤立者の背景
 5 日本社会の孤立問題

第四章 家族に頼れないのはどのような人たちか
 1 家族にかんする問題
 2 家族サポート研究の枠組み
 3 本章で用いる変数
 4 基本的事実の確認──分析一
 5 配偶者、両親、子どもに頼らない/頼れない人びと──分析二
 6 サポート源としての家族とそれに付随する諸問題

第五章 なぜ男性が孤立しやすいのか
 1 孤立と性別の問題
 2 男性の優位性と女性の優位性
 3 データと変数
 4 男性と女性のネットワーク構造
 5 孤立に潜むジェンダー問題

第六章 地方山村の人間関係と孤立
 1 地方社会の孤立
 2 地方の力が問われる時代
 3 地方生活における諸問題──先行研究の検討
 4 山間部調査の概要
 5 山村社会の生活と孤立
 6 連帯再生の試み──結びに変えて

終 章 これからの連帯のゆくえ
 1 孤立の回避と連帯のゆくえ
 2 孤立する社会を支えるセーフティネットの構築
 3 家族のつながりのゆくえ
 4 新たな連帯の構築
 5 第三の道の模索

あとがき──やや正直に語る
参考文献
初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

72
「無縁社会」は、家族(血縁)、会社(社縁)、地域(地縁)と密接に結びついている。この「無縁社会」を読み解く鍵が、社会的排除と親密圏。すなわち、家族などの人間関係からの排除、非正規などの不安定雇用による労働市場からの排除、住宅及び地域からの排除とそこにみられる親密圏の変容である。無縁社会は、社会的なシステムの不備に還元ざれるべき問題でありながら、個人の人間関係に焦点化され、「自分もいつかは孤立死するかもしれないな」という漠然とした不安を抱かせる。確かにこの3つの縁は、絶対的でもなくおおいに揺らいでいる。自身2016/02/02

きいち

34
調査分析で判明した男性・高齢・低収入・低学歴、の孤立しやすさ。収入・学歴が家族を形成し家族からのサポートを得る条件となっているという身も蓋もない事実。そして「男性」がケアを調達するためには女性と関係を結ばないといけない、という現在の社会条件。ここで、高齢男性の孤立をそれまでのその人のケアする努力の不足(いや確かにそうかもだけど)とした上野千鶴子に、「それはあなたが指弾してる自己責任論そのものじゃないか」と喧嘩を売る!自分も無縁のリスクが高いことを告白する赤裸々なあとがきと相まって、とても切実感ある学術書。2015/12/14

ステビア

25
「『自由は謳歌したい、しかし放っておかれるのは嫌』という都合の良い考え方は改めなければなるまい。」…ほんとその通りすぎる…自由には時に孤独も伴うってことだよね…2022/03/03

sk

8
無縁社会を社会的排除の文脈で読み直し、それに対する処方箋を示す。興味深い論考だった。2018/11/20

ぽん教授(非実在系)

6
KKO問題にも光を当ててフェミニズムの身勝手ぶりにも疑問を突き付ける内容を2011年に書いているのだから著者はなかなかに(無論良い意味で)チャレンジャーである。しがらみから解放されたいけど、しがらみを失うとセーフティーネットがなくなり見捨てられるというご都合主義的な心情が現代日本人にはびこっていることが昨今の無煙社会の原因であり、自由を諦めしがらみを復活させてはどうかと著者は提案し、同感であるが、具体的にどうすればよいかは著者も悩んでいることであろう。今後の課題である。2018/03/30

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