内容説明
原発事故は私たちから何を奪い、何を残したのか
「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」――自然とともに生きる生活の豊かさと、それを奪われた悲しみ、分断されていく故郷への思い。事故責任を問う運動の先頭に立ってきた著者が10年にわたり綴った福島の実像。
【著者】
武藤類子
1953年生まれ。福島県三春町在住。養護学校教員などを経て、2003年に開業した里山喫茶「燦(きらら)」を営みながら反原発運動に取り組む。
目次
はじめに
何が豊かな暮らしなのか、 どれが一人ひとりが幸せになれる価値観なのか
東北の鬼
どんぐりの森から
新しい道
生きる尊厳を奪われない
いま、福島から訴えたいこと
福島原発事故は終わらない
置き去りにされた都市問題と福島のいま
福島で生きる若いあなたへ
女たち命の大行進in京都
スタートライン
原発事故が私たちから奪うものは……
東電福島原発事故刑事訴訟のいま
海の日に寄せて
放射能安全神話と原発事故の責任
深い憤りと悲しみの中から
世界の皆さまへ
[寄稿]福島から――きちんと絶望すること、そこから次の道を見出すこと (ノーマ・フィールド)
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
34
新刊コーナーから。娘が10歳になりました。そう、311から10年です。東北の鬼たちは、静かに、けれど確実に怒りをたぎらせていました。そして、彼らには仲間もいます。私もそのうちの一人です。鬼たちの活動が利益を生まないと言う人は多いけれど、原発の生んだ世界規模の汚染問題や、どちらに転んでも大変なことになるであろうオリンピックは本当に利益でしょうか。これが海外に見てもらいたい日本の姿なんでしょうか。どんなに自分の小ささに打ちのめされても、サンボマスターを聴きながら、福島を思います。2021/05/11