内容説明
夫を殺したのは親友の息子なの? ごく普通の二つの家族が「愛国心」のもとに引き裂かれ大きな波紋を描く壮大なドラマ。バスクを舞台に世界を揺るがしたスペイン文学。大ベストセラー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
50
紛争によって引き裂かれた二つの家族。祖国バスクのための「愛国」という名目による正義の不在が、作中での比喩表現である”傷口の膿”として色濃く影を落とす。善悪の葛藤だけではなく、登場人物同士それぞれの関係性が深く肌理細かに描きこまれているため、物語としても素晴らしい緊密度である。バルガス=リョサが言う通り洗練された構成にも舌を巻く。巻を措く能わずの読書。下巻へ。2021/04/25
かもめ通信
20
舞台はスペイン北部バスク地方の独立機運の高い閉鎖的な土地柄の小さな村。バスク地方の分離独立を求める民族組織ETA(Euskadi Ta Askatasuna/エウスカディ・タ・アスカタスナ/バスク祖国と自由)が武装闘争の完全停止を宣言した2011年10月にはじまる物語は、現在と過去を行き来しながら語られていく。バスク文学と聞いて気になってはいたが、上下巻合わせて700ページ越えの長編だというので躊躇していた。読友さんのレビューに後押しされて読み始めたら止まらなくなって、一気読みだった。2021/07/19
Hiro
16
バスク地方の小さな町で、テロによって引き裂かれた二つの家族の物語。かつて仲の良かった友人同士が、加害者と被害者に分かれ、長年にわたって互いを避け続ける姿が重く響く。複数の登場人物の視点で描かれるので、それぞれの立場や思いがリアルに伝わってくる。原作をAudibleで視聴。完全に理解できたか不明だったので、日本語版(紙)を読んだ。重いけれど、心に残る一冊。
ハルト
12
読了:◎ 『祖国』とはなんなのかを考えさせられる。愛国心によって引き裂かれたふたつの家族によって示される内戦の悲劇。一方は殺した側。もう一方は殺された側。そこに立ちはだかる大きな壁。どちらもが、国を愛し、家族を愛しているだけなのに、憎しみが生まれてしまう。なぜ人は戦いあわねばならないのか。そう、訴えかけられている気持ちになる。下巻においては、どう物語が展開していくのだろうか。2021/07/03
ori
2
めちゃくちゃ面白い。面白いという言い方は違うかもだけど。2022/11/01