内容説明
フランス・ロマン主義を代表する作家ユゴー(1802-85)が,1482年のパリを舞台に中世の社会と民衆の風俗を生き生きと描く.醜い鐘番のカジモド,美しい踊り子エスメラルダ,陰鬱な司教補佐クロード・フロロ.〈宿命〉によって結ばれた登場人物たちが,運命にもてあそばれ,愛や情熱や嫉妬といった感情のドラマを繰りひろげる.(全2冊)
目次
序文┴一八三二年刊行の決定版に付された覚え書┴第一編┴1 大広間┴2 ピエール・グランゴワール┴3 枢機卿閣下┴4 ジャック・コプノール親方┴5 カジモド┴6 エスメラルダ┴第二編┴1 一難去ってまた一難┴2 グレーヴ広場┴3 「ぶたれてキス」┴4 夜のまちで美しい女のあとをつけていくと、いやなことに出くわす┴5 夜のまちで……(つづき)┴6 壺を割る┴7 婚礼の夜┴第三編┴1 ノートル=ダム┴2 パリ鳥瞰┴第四編┴1 気のいい女たち┴2 クロード・フロロ┴3 「怪獣の群れの番人で、怪獣よりもものすごい」┴4 犬と飼い主┴5 クロード・フロロ(つづき)┴6 憎まれっ子┴第五編┴1 サン=マルタン修院長┴2 これがあれを滅ぼすだろう┴第六編┴1 昔の裁判官たちを公平無私な目で見れば┴2 「ネズミの穴」┴3 トウモロコシのパン種で焼いた菓子の話┴4 一滴の水に一滴の涙┴5 菓子の話の結末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
91
15世紀のパリ、美しい踊り子をめぐる愛と情熱の悲劇。彼女に恋をする陰鬱な司教補佐フロロ、醜い鐘番カジモド、婚約者持ちの衛兵フェビュスなど登場人物がいきいきと描かれ、それぞれ異なった思いの寄せ方や感情表現をするのが魅力的。中でも聖職者としての立場で葛藤するフロロの描写が圧巻で、嫉妬が渦巻く激情は読者を飲み込むような勢いがある。舞台を周到に用意する序盤の進行は鈍重だが中世の風俗や建築の歴史に関する言及や考察が印象深い。「書物は建築物を滅ぼ」したが、現代は電子が書物を滅ぼす時代。歴史の遺産はますます貴重になる。2017/12/23
やいっち
80
冗長。だけど読ませる。この作品を、ドストエフスキーじゃないが、出版契約上執筆期限が切迫し一気に書き上げたとか。失われるパリの風景やノートルダム大聖堂への愛に満ち、自由奔放な表現ぶりはロマン主義の典型とも。2023/02/17
Willie the Wildcat
72
人々のの支柱であり、パリの象徴の大聖堂。「石造の交響楽」と熱く語るその造りと、静けさ漂うパリの情景。大聖堂に籠るカジモドと、パリの”表裏”両世界に神出鬼没に現れるエスメラルダが、それぞれを体現している感。2人が”交錯”して終わる上巻。文明と政治の結びつきの件が上巻、統一と自由の件が下巻と想像。カジモドの養父フロロが正に文明と政治の渦中に飛び込んでいるかのような立ち位置であり、グランゴワールが統一と自由にもがいている印象。この対照性も、下巻の見所なのかもしれない。2019/08/27
ころこ
51
「建築術の最も偉大な成果というものは、個人個人がつくったというより、社会がつくったのだということがわかる。」物語のプロットに無関係な第1編や第3編に書かれているのは、読んでいるときは群衆や背景として流されてしまう。だが、その後に読者の無意識に沈殿するイメージはこの都市の風景の方なのだ。建築は「読む」ことができる。大きな建築は直ぐにできることは少なく、設計者がかわることもある。そうして建築様式がかわると、後世のひとは低層を古層と見立てた堆積物として建築を読むが、我々は建築の代替物として遠隔地で書物を読む。2023/12/24
kazi
50
レ・ミゼラブルを読もうとして何回も挫折してるので、より短くまとまったこちらの作品から読んでみました。あまりに有名な話なので大筋のストーリーは知っていても、実際読んだことある人って少ないんじゃ無いかな?本筋の物語は非常に面白いのだが、作者が所々に差しはさむ“脱線”や“余談”が多すぎる。体感的には文章の5割以上が本筋とは関係ない作者のひとり語りと感じだが、どうなんだ?建築とか都市論に関するユーゴーの1人語りが始まる度に、私はゲンナリしました。2022/05/23
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