内容説明
“色”で江戸の難題、解決します。
累計32万部突破「居酒屋ぜんや」シリーズの坂井希久子、
文庫オリジナル、新シリーズ始動!
江戸時代は、洗練された美意識と、繊細な色彩感覚が頂点に達した時代でした。
もしも、江戸にカラーコーディネーターがいたら……?
お彩の父親は腕のいい摺師でしたが、火事で視力も、仕事場も失ってしまいます。
盲いた父の面倒を見ながら貧乏長屋で暮らしているお彩。
婚約者との縁談も流れ、粗末な木綿の着物に身を包んでいますが、お彩には、天性の鋭い色彩感覚があるのでした。
そこに目をつけたのが、謎の京男、右近。
一本気なお彩に邪険のされながらも、懲りずにまとわりつく右近は、お彩に次々と色に関する難題を持ち込みます。
そして、“江戸のカラーコーディネーター”、お彩の活躍が始まります!
着物や芸能にも詳しい坂井さんならではのエピソードや、
色や柄にまつわる知識も満載。
例えば鼠色だけでも、これだけ種類があるのか!と驚かされます。
※
お彩はお蔦の顔と見比べながら、帳面をめくっていく。
白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠──。(中略)
「あっ!」
唐突に、記憶の糸が張り詰めた。
一枚の錦絵がするすると、脳裏に引き出されてくる。(本文より)
※
新作菓子の意匠から花魁の仕掛けの図案まで、豊かな色彩溢れる江戸のカラーコーディネーターとして活躍するお彩の人情物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
211
読みやすさ抜群の坂井希久子さんの新たなシリーズ。江戸のカラーコーディネーター物語。お彩と右近のやりとりはコミカルで、また始まったよと、水戸黄門的なお約束要素の構成みたいで読んでて心地良い。当然、そこには義理と人情もあるわけで、なかなか面白い。まだ右近には謎めいたところもあるし、お彩はホントに父の辰五郎の仕事場を立て直せるのか。お彩の痛いところを突いてくる右近のやりとりも楽しみだし、他にもいろいろ楽しめそうで今後の展開がどう発展していくのか気になるシリーズ。次作が楽しみ。 2022/07/16
ツン
123
坂井さんの新作。江戸時代のカラーコーディネーターという発想がおもしろい。今後の3人の関係がどうなっていくのかが楽しみですが、卯助さんも何か言っておけば良かったのにと思わなくもないです。2021/06/19
タイ子
116
カラーコーディネーターが江戸時代にいたら、たぶんこうだったんじゃないかというお話。元々は錦絵の摺師だった父親を持つお彩。父親が火事によって失明してしまい、摺師の仕事もできなくなり今は長屋でお彩が面倒を見ている。摺師の技を見ながら育ったお彩は色彩に秀でており、それを見込んだ京男の右近が身分は謎のまま近づいてくる。当たり前だが、世の中の全ての物に色があり色彩一つで商売も儲かったり、損をしたり…。上生菓子、金平糖、花魁の着物、茶の湯の茶碗。右近の正体も判明、お彩の優れた色彩感覚が人生を彩っていく。シリーズ開始。2021/07/17
のぶ
116
本作が新シリーズになるようだ。主人公はお彩。父親は浮世絵の摺師だったが、火事で視力も、仕事場も失ってしまう。お彩は婚約者との縁談も流れ、現在婚活中でやや気が強い。そんなお彩の特技は並外れた色彩に対してのセンスで、江戸のカラーコーディネーター。面白いところに着目しましたね。着物やお菓子の意匠等に並外れた能力を発揮して、まわりの信頼を得ていく。日本の色は鼠色一つ例にとっても、何十種もあって、それぞれに名前がついている。実際に見られないのがもどかしいが興味深い。他のメンバーもユニークで今後が楽しみだ。2021/06/19
ぶち
101
日本は色彩の表現がなんと豊かな国なのでしょう。ねずみ色一つにも、白鼠、銀鼠、藤鼠、湊鼠、錆青磁、柳鼠……などたくさんの名前があります。これは名前だけでなく実際の色彩の微妙な違いからきているんですね。 そんな微妙な色彩を的確に感じ取る鋭い色彩感覚の持ち主であるお彩が主人公です。 胡散臭い京男・右近に連れまわされながら、着物の見立てや上菓子の新たな意匠など様々な難題にその色彩感覚が活かされていきます。その活躍がたいへんに楽しい物語です。 京男・右近が何者なのかの謎ときは、次作以降の楽しみです。2022/08/05
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