小学館新書<br> 辻政信の真実 ~失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う~(小学館新書)

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小学館新書
辻政信の真実 ~失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う~(小学館新書)

  • 著者名:前田啓介【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 小学館(2021/06発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784098254019

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内容説明

元陸軍参謀が最後に企てた“作戦”とは?

1961年(昭和36年)4月4日、元陸軍参謀にして参議院議員の辻政信は、羽田空港から東南アジア視察のため単身、飛び立った。実はその出発直前、数々の「異変」が確認されていた。たとえば、辻の次男・毅氏はこう証言する。

〈父はタラップに4回出てきたんです、機内に入ってから。あり得ないことです……〉

その後の足取りは杳として知れず、8年後に「死亡宣告」が出された。
伝説の作戦参謀は、いったい何をしようとしていたのか――。

その生涯は、まさに波瀾に満ちている。

苦学の末、士官学校を首席で卒業、陸大で恩賜の軍刀を下賜された。
初陣の第1次上海事変での武勇が報じられ、一躍、時の人となるが、
作戦を主導したノモンハン事件で多数の犠牲者を出し大損害を蒙る。
太平洋戦争緒戦マレー作戦で名を上げ「作戦の神様」と称されるが、
シンガポール攻略後の華僑虐殺問題やフィリピン戦線での捕虜殺害、
ガダルカナル島奪還作戦の失敗などにより、その勇名は地に墜ちる。
タイ・バンコクで玉音放送を聞いた後、潜行生活に入ることを決意、
ラオス、ベトナムを経由して中国に渡り、極秘裏に日本へ帰国する。
戦犯指定解除後、『潜行三千里』など手記が次々とベストセラーに。
勢いに乗って衆院選でトップ当選、さらに参院選で全国3位となるも
その任期中に、内戦下の東南アジアへと向かい、消息を絶った――。

辻政信の主な評伝が刊行されたのは1980年代までだった。以来、30年以上の月日が流れている。本書は、戦前・戦中のみならず、戦後の潜伏生活や政治家としての言動、そして失踪に至るまでの経緯や死生観を丹念に検証し、数々の新証言・新事実をもとに辻政信の実像に迫っていく。

謎の失踪から60年――。毀誉褒貶の激しい作戦参謀の“正体”が明かされる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

112
優れた作戦を立案し、最前線で指揮を執り、死傷者を収容するため命を賭ける。辻政信が優秀な軍人なのは間違いないが同時に強烈な自信家でもあり、他者を巻き込む説得力の持ち主だった。役に立つ男だと上司も便利使いするうちに独断専行が重なるが、本人は組織のためと信じて疑わず、悪を行っているとは露ほども考えなかった。「戦争とは他の手段をもってする政治の継続」とすれば、戦争は勝てばいいとする日本陸軍の組織的欠陥が、かくも政治を無視した将校の暴走を容認した状況が見えてくる。だから辻は政治家としては何の業績も残せなかったのだ。2022/12/21

とくけんちょ

56
絶対悪とまで呼ばれた参謀。兵の命を顧みない悪魔的な作戦を実行し、終戦時潜行して、その後、意気揚々と政治家への転身。最後は失踪。とんでもない人間だ。だが、誰よりも高潔。だから、人は辻政信を無視しておくことができないのだろう。それに、高潔がゆえに面と向かって否定されない。憧れるが、絶対に真似してはいけないことはわかる。決定権を持たせてはダメな人の見本。2021/08/09

紙狸

19
2021年刊。著者は1981年生まれの全国紙記者。金沢支局勤務当時の連載記事がベース。現在の加賀温泉市今立区出身の陸軍参謀・辻政信の伝記。この本の特徴は、辻の生い立ち、そして戦後国会議員として活動した時期について、関係者(の家族)の証言、残された文書類を丹念に集めた点だ。参謀としての「活躍」「悪行」についての叙述には疑問が残る。エピソードをニュートラルに並べてよいのか。山本七平は『一下級将校の見た帝国陸軍』で、陸軍のダメな体質を象徴する人物として辻をとりあげている。こうした批判こそが教訓として生きる。2022/12/18

CTC

14
6月の小学館新書新刊。著者は読売新聞文化部記者。本書は著者が金沢支局に所属していた19年夏(辻の法的死亡宣告より50年)に同紙石川県版で連載したものを基にしている(ようだ、明言はない)。という事情を汲みつつとしても…まず大読売の文化部記者がこんな見識で仕事できている事を非常に危惧する。本書は一面的であり「本格評伝」は羊頭狗肉である。辻の孫である富士急行社長ら親族への阿りの書かな、といった所感である。しかし改めて人物としての辻に魅力的な面がある事は事実なのだ。だからこその“絶対悪”だって、わかんねえかな。。2021/06/10

みのくま

7
本書を読んで改めて辻政信ほど評価が難しい人物はいないのではないかと感じる。軍人への評価は後世から後出しジャンケン的な卑劣な言説を弄びがちであるし、また現代人かつ非軍人的な生命倫理を安易に当てはめて考えてしまう訳だがそれはあまりにアンフェアであろう。さらに辻政信自身の性格や経歴も拍車をかけ、もはや彼を正当に評価できる人間など存在しないのではないか。そういう意味で、本書は極力フェアな態度で記述されており好感が持てる。そしてぼく自身の感想を記すならば、ぼくが実際辻政信に出会っていたら魅了されたであろうという事だ2024/05/19

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