内容説明
毎日とにかく忙しすぎるし、競争が激しく心が安らぐことがない。祖国や世界の政治状況を見ていても怒りが湧くことばかりで、心が乱されることが多い。ついでに、映画作家などというヤクザな商売をしているので、経済的な不安も常に抱えている。そういうストレスを少しでも軽減し、心の平静を保つ必要性を感じていた。(本文より) 2600年前ブッダが実践したという瞑想修行に参加した映画作家想田和弘による10時間×10日間のルポルタージュ。スマホもパソコンも財布も預けひたすら座って修行する中で、著者は驚くべき貴重な体験をし、考え方と生き方を大きく変えられてしまう。「週刊金曜日」の好評連載、待望の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
46
瞑想そのものよりも、その後のものの考え方が、自分には馴染むように思う。一旦、時間をおいて、それから考えてみることの大切さ。反応するしないも含め、その後に思いをはせること。2023/05/06
takeapple
15
『週刊金曜日』に連載されていた想田監督にヴィパッサナー瞑想体験記である。ゴエンカ氏の道場で10日間の瞑想修行をして、監督自身が感じた事を観察した記録だ。私は山下良道師の元でほんの数日瞑想を習ったことがあり、それだけでも素晴らしい(大変でもあった)体験だったから、10日間の修行は凄いなあと思う。仕事が忙しくなったことコロナのせいだという理由をつけて瞑想していないけれど、やっぱりきちんとやり直さないといけないなあ。社会状況への怒りは私も反省しないとならないと思いました。2021/05/04
うちこ
8
途中と末尾にある、日常や仕事中で起こるジャッジメンタルと照らし合わせた振り返りの文章がかなりおもしろく、身近な感情が書かれています。 「あれは自分が選んだ怒りだった」という視点で自身の過去を振り返る文章に引きこまれます。 この本を読みながら思ったのは、どんな権力や決定権を得ても、裸の王様になってもやり直せるように瞑想は開発されたんじゃないかということ。 まるでブッダがスジャータの乳粥を食すに至った過程のマインドを現代版のカジュアルな日本語で読ませてもらったような、それくらい引き込まれるおもしろさでした。2024/02/06
ja^2
6
本書が良いのは、神とか仏とかが一切出てこないところだ。とはいえ、天邪鬼な私は著者の体験したすべてを鵜吞みにはできない。▼どうやらこの瞑想法の要諦は、常に平静さを保って自分を観察せよということらしい。わかる。でもそれは、外界と遮断された環境なら実践できても、日常生活の中では限りなく難しいのではないか。▼一方で、本書を読みながら、このところの自分の心がいかに荒んでいるかを自覚したのも事実である。もしも本当にこの瞑想法によって虚心坦懐に生きられるのなら身に付けたい。でもまあ、無理かな。禁酒を守れそうもないし。 2021/11/16
王室付麻酔科医
5
千葉の瞑想センターでの10日の瞑想合宿の体験記。瞑想ってなんか良いらしいけど、スピリチュアルっぽい感じもあるし、よくわからない…という感じだったが、読んでみて理解は深まった。と同時に、確かにこれは、体験談だけ聞くとスピっぽいと思われるのも仕方ない、とも腑に落ちた。おそらく本当に理解するには、その道へ踏み入れるしかないのだろう。宗教、推し活、マラソンなど、やってる本人からしたら楽しいが、やってない人間からしたら理解に苦しむものはある。しかしそういうものを持たないより、持ってる方が人生楽しいのも確かだろう。2024/02/11