内容説明
「ぼくが死んだらさびしいよ?」が口癖だったあの頃……。けんかばかりしていたけれど憎めない。博覧強記の東京人。生涯一「雑誌小僧」。毎日が締め切りでも、いつもふらふら飲み歩く生粋の遊歩者(フラヌール)。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い」夫との多事多難な日々が鮮やかに蘇る。そう、みんなツボちゃんを忘れない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
75
「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い、一緒にいると退屈することがなかった」ツボちゃん(坪内祐三さん)の奥さんが書いた哀切な追悼記。朝日新聞文化部記者だった著者は、週刊文春の「文庫本を狙え!」を見て、週刊文春に連載を持つ単著のないライターに興味を持ったのが出会い。物書きになる前の彼が、どうしても書きたかったテーマは二つ。一つは「変死するアメリカ作家たち」で、もう一つが「靖国」。A級戦犯合祀の是非などのイデオロギー的な面ではない、当時あまり関心を払われなかった、どういう場所だったかということ。2022/06/05
小太郎
27
あの坪内祐三さんが死んで2年、こういう本が出てくるとは思いませんでした。書き手は奥さんの佐久間文子さん、流石に長き渡り文筆業に携わってきただけあって、夫坪内さんへの思い溢れた素敵な本になっていました。坪内さんの本は独特の文章や感性に惹かれて何冊かは読んだけど、この本を読んで初めて坪内さんのちょっと変わっていてシャイな人柄に触れた気がしました。お互い好きな人と別れて結婚したことや、ヤクザに殺されそうになったこと、同時代の作家、編集者との交流などまさしく「ツボちゃんの話」でした。2022/10/16
pirokichi
22
気になっていたので、昨日の毎日新聞書評がきっかけとなり即購入。ゆっくり読もうと思いながらも、引き込まれて夢中になって読んでしまった。昨年1月に急逝した坪内祐三さん。妻が語る坪内さんが亡くなった日のこと、そして出会いから夫婦となり共に過ごした、25年の記憶。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い、一緒にいると退屈することがなかった坪内祐三」…夫への溢れんばかりの思いが、後悔が、祈りが、胸にばんばん響く。前妻・神蔵美子さんとのことはこちらまで苦しくなる。カバーの写真の坪内さんの表情がいい。2021/07/18
阿部義彦
17
亡くなった坪内祐三さんの最後の配偶者であった佐久間文子さんのツボちゃんとの日々を振り返ったエッセイです。気難しくて、変な所に地雷があってそれを踏むと烈火の如くに怒り出して手がつけられなくなる、生粋の江戸っ子。確かにツボちゃんのエッセイでは、間違った事を書いた業界人に対してのこんな事も知らないのかと言う指摘がそこここに見られて自分も随分と自分の知識に自信がありすぎてペダンチックな人なんだなあ、と思いました。割と筆を抑えて淡々とした、筆致で人間らしさが書かれて好感がもてました。けど大変だったろうなあ、とも。2022/03/26
tetsubun1000mg
17
定期購読している本の雑誌に「坪内祐三の読書日記」を20年以上連載していたし、文壇バー探訪の企画では先頭に立って有名な店を案内して店主に紹介していたこともあった。その時のツボちゃんは嬉しくてたまらないように見えた。突然怒って周囲を悩ませていたようだが、根の部分では人が良く長い付き合いも多かったらしい。私もツボちゃんの本は好みで愛読していたが、今回の佐久間さんの追悼本は喧嘩も含めて苦しんだことも書きながら、「こんな良いところもあるんだよ」と正直に語っていたと思いました。読んで良かったな、さようならツボちゃん。2021/10/03
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