内容説明
探偵小説黄金時代に入り、さらに円熟味を増すソーンダイク博士探偵譚。第3巻収録の短篇集『パズル・ロック』『魔法の小箱』は毒殺、暗号、アリバイ、幽霊出現など多彩なテーマと独創的なトリックの宝庫!
ジョン・ソーンダイク博士は、20世紀初めに数多登場したシャーロック・ホームズのライヴァルたちの中でも最も人気を博した名探偵である。当時最新の科学知識を犯罪捜査に導入、顕微鏡をはじめ様々な実験器具を用いて証拠を調べ、事件の真相をあばいていく法医学者ソーンダイクの活躍は読者の喝采を浴びた。また短篇集『歌う骨』では、最初に犯人の視点から犯行を描き、次に探偵が手がかりを収集して謎を論理的に解き明かす過程を描く「倒叙ミステリ」形式を発明した。真相解明の推理のロジックに重きを置いた作風は、現在も高く評価されている。本全集は、ソーンダイク博士シリーズの中短篇42作を全3巻に集成、初出誌から挿絵や図版を収録し、完全新訳で贈る、探偵小説ファン待望の決定版全集である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
23
〈ソーンダイク博士短篇全集〉3巻である。科学捜査と緻密なロジックで事件を解決する名探偵ソーンダイク博士。古典期から黄金時代まで活躍を続けた博士の軌跡を追う!という話だ。「パズル・ロック」から「瓦礫で集めた情報」まで、どれもこれも超よかったね。さすが博士、そしてオースティン・フリーマン先生である。そしてこの巻をもって短篇全集も終わりだというのが、またいいねえ。いつかまた1巻から読もうと思う。2021/05/09
内島菫
22
全集も最終の三巻目ともなると、著者フリーマンの簡にして要を得た描写や執筆態度と、ソーンダイク博士のブレのない正確さに心地よいリズムを覚え、一種の様式美を味わえる。これは、厚い層のように積み重ねられた良質の短篇群ならではの読後感でもある。語り手となる人々の中でも特にジャーディスは愛すべきジュニア・パートナーで、フリーマン自身が述べているように「誤解を専門とする人」であり「その仕事は、すべての事実を観察して記録し、その意味を完全に把握し損ねること」である。2021/05/10
Urmnaf
12
ソーンダイク博士短篇全集も第3巻にして完結。短篇集「パズル・ロック」「魔法の小箱」の18篇にオマケつき。いずれも端正なミステリだが、博士は何が起きたかに説明がつけば、犯人逮捕は二の次だったりもする。特殊なアイテムが手がかりだったりと、さすがにネタが尽きてきたかな。それでも正統派の謎解きであることは変わらず。科学分析が個人の手を離れた現代では成立しないように見えて、違和感に気づくかどうかがミソだったりして、今でも通用するのかとも。2021/05/05
keik29
5
市図書館本とKindle版(上下巻)を。2022/06/04
tokyo-zodiac
4
「パズル・ロック」ミラー警視の要請で、美術品収集家ラトレルの家を捜索に加わったソーンダイクと私(ジャーヴァス)。ラトレルは失踪直前に窃盗犯の一味の男と接触しており、今は二人とも行方をくらましている。ラトレル自慢の金庫は15文字のアルファベットを揃えて開くタイプのもので、その組み合わせは天文学的な数字となる。だが案に相違して、Aが15個並んだ状態で把手を掴むと難なく金庫は開き、中にはラトレルと窃盗犯一味の男の死体が!私たちが更に金庫の中を調べていると突然金庫の扉が閉まり、中から開けようにも扉はビクともせず…2021/05/05
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