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内容説明
蜜人空海との再会
洞窟で翼を広げる少女との邂逅
鏡の自分に憑りつかれた国王との謁見
真珠採りの男たちとの遭遇
既知と未知、怪奇と幻想のアラベスク。
幻想文学史上に屹立する巨峰を、果敢なる漫画家が端正で妖しく描き尽くす。渾身のコミカライズ、第三巻。
●近藤ようこ ビームコミックス好評既刊●
『蟇の血』(原作:田中貢太郎)『死者の書』上・下巻(原作:折口信夫)『五色の舟』(原作:津原泰水)
『帰る場所』『水の蛇』『月影の御母』『美しの首』『猫の草子』『説経 小栗判官』『宝の嫁』『女神たちと』(共著:河井克夫他)
●コミックビーム 公式ツイッター●
@COMIC_BEAM
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りらこ
26
どこからが夢なのかどこまでが本当なのか、または全てが親王の頭のなかだけのことなのか。不思議で時に温かく、そしてまた不思議なのである。この暗示はどこに繋がっているのか、この先がまた心配だったり。春丸のことを春丸と名づけなければもしかしたら秋丸はいなくならなかったかもしれない、とか、やはり鏡湖に映らないというのはそういうことなのか、とか気になることがたくさんだから次も読まなきゃだ。2023/05/29
ぐうぐう
26
夢により導かれる、救われる。『高丘親王航海記』にはそのような場面が何度も描かれ、それがこの小説の特徴にもなっている。夢は現実の裏返し、対になっており、そういう意味で「鏡湖」は象徴的なエピソードだ。鏡に映る自分は、当然自分そっくりである。ここで思い出されるのは、似ている人物がこの小説には何人も登場することだ。空海和上と石窟の蜜人、春丸と秋丸、人間に似た儒艮といったように。似ている顔をビジュアルとして描くことのできる漫画は、とても有利と言える。しかし、似ているが本人そのものではないことは重要だ。(つづく)2021/05/03
阿部義彦
18
みこは時間も空間も超越して精神旅行を続けます。春丸を助け出すがそれと同時に秋丸は消失してしまう。またみこは自分の命が幾ばくもないのをそれとなく察知してしまう。それを逆手にとり王様の病気を直して深く感謝されます。そして、ふたたび言葉を話す儒艮が登場して春丸に話しかけます。この世は夢か現か世界の輪郭もぼやけてしまいます。旅も佳境を迎えて次の4巻で全てが完結するようです。本当に今まで読んだどの物語にも似ていない不思議な読み心地、澁澤龍彦渾身の作品だと思います。2021/05/23
てんてん(^^)/
10
高岡親王の旅は、不思議の国を巡るおとぎ話のようで楽しい。そんな中にも漠然とした死への不安が流れていて、作者自身の心象と重なるようでもの寂しさを感じる。春丸との出会いと同時に姿を消した秋丸。秋丸への親王の想いはなんと言っていいのか、親の情のようでもあり、薬子への想いを映す鏡のようでもある。私ももう一度秋丸に会いたい。ただただ切なく、物語の余韻に浸っている。次巻はもう最終巻とは寂しい限り。2021/04/25
つっきー
8
全てが夢の中の出来事のようで、美しく、恐ろしく、単純で緻密。 春丸の登場と共に消えてしまった秋丸は何処へ行ってしまったのか。 2021/08/28