内容説明
▼「ブラック・ライヴズ・マター」 黒人の怒りを聴け
アメリカ政治の本質に根強く残る白人至上主義が、
アメリカ初の「白人」大統領ドナルド・トランプを誕生させたことを明らかにする
BLM運動を理解するための必読の書。
大統領在任中のバラク・オバマへのインタビューを基に描かれ話題となった
「僕の大統領は黒人だった」を収録。
本書は、現代のアメリカを代表する黒人知識人タナハシ・コーツが、アメリカ初の黒人大統領バラク・オバマとアフリカ系アメリカ人が歩んだ8年の軌跡を追うものである。コーツの旅は、ハーレムのハローワークから始まり、大統領執務室でのバラク・オバマへのインタビューで終わる。「これだから俺たちは白人に負けたんだ」「アメリカの娘」「南北戦争を研究する黒人がほとんどいないのはなぜか?」「マルコムXの遺産」「黒人大統領の恐怖」「賠償請求訴訟」「大量投獄時代の黒人家庭」「僕の大統領は黒人だった」という、オバマ政権の8年を描くエッセイは、この間の黒人を取り巻く状況に白人至上主義があることを明らかにする。
『世界と僕のあいだに』、『美しき闘争』によって、
一躍、現代アメリカを代表する黒人オピニオンリーダーとなったタナハシ・コーツが
「ブラック・ライヴズ・マター」の本質を描く、必読の書。
目次
第7章 2015年
ノート
大量投獄時代の黒人家庭
第8章 2017年
ノート
僕の大統領は黒人だった
エピローグ アメリカ史上初の白人大統領
訳者解説 長岡真吾
訳者あとがき 池田年穂
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mc6ρ助
10
『オバマとトランプの両方に投票した市民がいるからといって、それが人種差別がないことの証明とはならない。逆にあることの証左となる。オバマはホワイトハウス入りを達成するのにハーバード卒の法律家であること、一〇年におよぶ政治経験、そしてこの国の多様な階層の人びとに語りかけることのできる類いまれな演説の才能が必要だった。ドナルド・トランプに必要だったのは、金と白人特有の大声でのいばり散らしだけだった。(p156)』白人であるだけで大統領になった初めての男、トランプ、始まりに過ぎないかもとなると、ちょっと恐ろしい。2021/02/19
sk
7
現代の黒人の置かれた複雑な状況をうまく描き出している。2021/03/12
takao
3
ふむ2021/05/08
sn_ex_sd
2
書くことは己の惨めさ、情けなさを直視しなければいけない大変な作業と著者は言っているが、この本を読むことは、己の無知と浅はかさと向き合うことになる ショックな経験だった。白人の略奪によって成り立っているアメリカという国家。点だと思っていた問題が、線で悪くも繋がっているという指摘。本当に知らないことが多く、そして知っていても点でしか物事を捉えられてないと痛感させられた。知ったかぶりをして頷くたびに学ぶ機会を失っていると本文中にあったがまさにその通りだ。学び続けた上で行動することを止めないと心に決めた。2021/01/12
yuan
1
長い長い差別の歴史を経て、ついに誕生したアメリカの黒人大統領ということで、どうしてもひいき目に見る自分がいる。この本には、日本ではほとんど報道されることのない(されたとしても気づかなった)、バラク・オバマ大統領の8年間の軌跡が書かれている。黒人大統領ゆえに何ができなかったのか、同じアメリカに生きる黒人である筆者の厳しい指摘を知れたことがとても有益だった。2021/01/28