続けてみます

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続けてみます

  • ISBN:9784794971937

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内容説明

まだ時間はあるのです。世界が終わる瞬間にはゆっくりとたどり着くはずだから。

幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。

誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

35
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは父を事故で亡くして以来生活の意欲を日々失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。人生に否定的な母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え暴力に飲み込まれるナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは。ざっくり読んで明るい未来を想像できる?例え誰も同調してくれなくても、自分一人の部族になっても、生き方を否定されても、それでも続けていく。地味でどうということもない決意が、人を生かす最も大きな力になる。2021/05/21

フム

26
『ディディの傘』から2冊目のファン・ジョンウン作品。2012年から2013年にかけて文芸誌に連載されたものに改稿を重ねて出版された。その中で起きた2014年のセウォル号沈没事故のことや、東日本大震災のことが頭によぎった。運命は容赦ない。小さい歯車が小さくかみあいながら巨大な歯車に飲み込まれていく。表紙の絵を眺めた。さまざまな暴力的なものにさらされながらも、そこに生きるかぼそい者達の人生はたまらなくいとしい。「それを…ほとんど沈黙といっていいほどの文章で圧倒した小説」と評価された書きぶりも、とても好みの作家2021/02/06

kibita

15
薄闇の中で、静かに小雨が降っているような、そんな印象の文章。そこに力強く聞こえる胎児の拍動が、生きる、生きていけ、と言っているようだった。「人間なんて虚しくて、取るに足らない。だからこそ愛おしい。」横断歩道で信号待ちしている人達など、ただその一瞬すれ違うだけだけれど、皆それぞれ悲しみや喜び、その人だけの人生を日々歩んでる事を想像出来る人になりたい。そうしたら優しくなれる。人生を続けていける。そう改めて思わせてくれる本。2022/03/17

ズー

15
表紙の歯車が色んな意味をなしている。突然の喪失 先の見えない不安 伝わらない愛 一人一人違う部族だということ。傷つけていることに気づかない化物。昔から仲の良い3人の関係がその中でほっこりとさせる。マンドゥも美味しそう。最近王餃子にハマっているので想像は容易かった。終盤にかける姉妹の関係性がなんかよかったなー。2021/01/30

ぽけっとももんが

12
ソラとナナ、そしてナギ。彼ら3人の内省的な独白はそれぞれ呼応して結局一人の人間のようだ。ナギが、男女に異性愛じゃない愛なんてない、というモサさんに言う。自分が想像できないからって、この世に存在しないものってことにしないでくれよ。知らないから想像できないのであって、それはないわけではない、かもしれない。2021/05/22

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