出版社内容情報
歴史小説で評論で対談でと、さまざまな形で「日本」を論じ続けてきた著者が、そのエッセンスというべきものを綴ったベストセラー
内容説明
日本は世界の他の国々とくらべて特殊な国であるとはおもわないが、多少、言葉を多くして説明の要る国だとおもっている。長年の間、日本の歴史からテーマを掘り起し、香り高く稔り豊かな作品群を書き続けてきた著者が、この国の成り立ちについて研澄まされた知性と深く緻密な考察をもとに、明快な論理で解きあかす白眉の日本人論。
目次
この国のかたち
朱子学の作用
“雑貨屋”の帝国主義
“統帥権”の無限性
正成と諭吉
機密の中の“国家”
明治の平等主義
日本の“近代”
尊王攘夷
浄瑠璃記
信長と独裁
高貴な“虚”
孫文と日本
江戸期の多様さ
若衆と械闘
藩の変化
土佐の場合
豊臣期の一情景
谷の国
六朝の余風
日本と仏教
日本の君主
若衆制
苗字と姓
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
163
司馬遼太郎ファンなので気にはなりませんが、ちょっと偏った考えではあるかと。 戦争体験によって良くも悪くも人生翻弄されてる感も ただそれだからこそこれだけの作品ができたんだなと改めて思いました。2018/12/29
Die-Go
145
再読。日本と言う国の「かたち」を、司馬遼太郎の筆によって読み解く。文化や宗教、はたまた統帥権というばけものにまで話は至る。読みやすく、分かりやすい。20代で初めて読み、30代で再び。そして40になってまた手にとってみているのもなかなか面白い。★★★★★2016/03/10
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
136
「昭和の日」に読んだ一冊。タイトルの通りこの国を形作った歴史、文化などに対する司馬氏の想いをつづった一冊。昭和初期どこからともなく現れ、日本を愚かな戦争へと導いた「統帥権」という魔物。「あんな時代は日本ではない。と理不尽なことを灰皿でも叩きつけるようにして叫びたい衝動が私にはある」「ちゃちな”帝国主義”のために国家そのものが滅ぶことになる。一人のヒトラーも出ずに、大勢でこんなバカな四十年を持った国があるだろうか」司馬氏の意見は手厳しい。★★★★2017/04/29
カピバラKS
113
●昭和61・62年の文藝春秋巻頭随筆。●著者は、織田信長等を例に独裁は日本人の気質に向かないとする。しかし、平成中頃の首相(小泉)と三大都市圏の首長(石原・橋下・河村)は皆、独裁的ながら大衆人気があった。日本人でも、閉塞期には独裁的リーダーを求めるのだ。●更に著者は、価値観の多様性が社会の活性を生むとし、価値観の単純化や国内文化の均一性による日本の衰亡を危惧する。しかし、欧米へのキャッチアップという国民統合的価値観を喪失した令和日本には衰亡の色が濃い。●文化論とは儚いものだ。2024/08/28
まさにい
110
再読。全6巻を再読していこうと思う。この1回目の話が書かれたのが昭和61年3月号かららしい。この巻に24話入っているから、63年月、つまり平成元年2月までのことが記されていることになる。61年は僕が丁度大学を卒業した年である。まだバブルは到来しておらず。しかし、その前年にプラザ合意があり、着々とバブルに足を踏み入れていこうとしている時期であったと記憶している。司馬はまず、日本の特異性と統帥権について書いている。社会が浮かれ 始め、ジュリアナ東京、ボディコン等の風俗が見られた時代である。2016/06/05