内容説明
晩秋九月。学者にして門前仲町の用心棒九頭竜覚山と深川一の名妓であったおよねの夫婦とも親しい、売れっ子芸者の友助の落籍話がまとまった。相手は塩問屋の主という。友助に憧れていた船頭松吉は悲嘆に暮れる。花街で頼りにされる覚山は、酔いつぶれた侍や匕首をしのばせた破落戸どもを撃退し、鳶と川並のいざこざの仲裁にも入り、忙しい。一方、北町奉行所の同心柴田喜平次は、地所持ちで四人の柳橋芸者を住まわせていた大店の主、信兵衛が女と死んでいた一件に手こずっていた。財産狙いの殺しか相対死にか。そして料理茶屋の後架では、花街の案内人が五寸釘で心の臓を突かれ、息絶えていた。そして友助の落籍話もあやしい雲行きに!? 覚山に休む間なし。江戸情緒あふれる深川人情シリーズ、第四弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
42
心中のように見える二つの死体。けれども心中する必然性がないということで定町廻り柴田は覚山の協力を得てひそかに探索する。だが探索中に次々と殺人が起きてしまって、読みながら「大丈夫かいな」と思ってしまった。相変わらず、なぜここまでと思うほどの細々とした描写が妙にクセになる作品。2019/10/09
ひさか
7
2019年9月講談社文庫刊。書下ろし。シリーズ4作目。覚山が樫の棒でポカポカとやっちゃうところが痛快。流れるように動くその様をよく書けるなぁと感心してしまいます。1冊を通して、ひとつの事件の謎を追いかけますが、これよりは、間に挟み込まれた浮世綴りの出来事の方がずっとずっと面白いです。2021/02/28
ニッキー
4
2年前になりました、前作を読んだのが。 しばらく、スウェーデン物にハマっているので、懐かしい江戸の香りを忘れていました。 芸者にメロメロにされた儒教の先生は腕が立つんでした。 また、探偵業にも長けていて、用心棒兼北町奉行所のおかかえどもある。2021/01/27