内容説明
大隈内閣は内紛のため四ヵ月で瓦解。苦難の時期を迎えるも、日露戦争後に早稲田大学総長や文明論者として活動、全国を積極的に遊説した。一九一四年に二度目の組閣を迎え、第一次世界大戦という難局にあたり日本の舵を取る。時にポピュリズム的手法を用い、「大平民」政治家として広汎な支持を集めた。下巻は、一九二二年に没するまでの「巨人」の後半生と晩年を辿る。葬儀に「百万人」が駆けつけた大隈の魅力を描き切る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
51
下巻は20世紀に入ってからの活動で、やはり最大の焦点は第1次世界大戦開戦時の首相と、対華21ヶ条要求だ。大隈は大戦前の不況の時代にあっても、景気は浮揚すると唱え続けていたようで、大戦景気は大きな追い風になっている。一方21ヶ条要求については、基本的に加藤高明の未熟さから山県ら元老の助言に頼らず陸軍に引きずられたとの見解で、大隈は自分の後継者として加藤をみていたため、彼を支持したとの立場。首相に外相の罷免権がない当時の内閣制度からすれば、妥当な説と言えそうだが、やはり世界の趨勢を大隈が読み誤った面もあろう。2020/02/17
MUNEKAZ
16
長い雌伏の期間を経て二次政権へ。おなじ理想故どうしても伊藤博文と比べてしまうのだが、伊藤にある「藩閥」と「天皇からの信頼」のどちらにも欠ける大隈は、ポピュリズム的手法を使いながらも自らを演出し、大衆からの支持を味方につけていくのが大きな違い。弱点は外交で、海外経験がなく英語も苦手な大隈は、いきおい周囲の人間頼みになり、二次政権では加藤高明と心中することになってしまう。また「調和」を重んじた文明論や、「小さな政府」志向など政治的な思想が知れたのも良かった。あとは著者の贔屓目が気になるかどうかかな。2019/07/26
かんがく
14
上巻に比べるとやや面白さは落ちる。ただそれは伝記一般に言えることで、老齢になってからも総理大臣を務めている大隈は魅力的な後半生を送っている方であると思う。「後継者」である加藤高明の記述が多く、山県との対立などを通して、当時の二大政党と藩閥の関係性がよく見えてくる。大隈をマスコミや大学を利用したポピュリストと評しながらも、「世論」よりも「輿論」を重視したという軸が一貫していた。次はライバルの伊藤か山県の伝記を読もうと思う。2019/08/28
Hiroo Shimoda
10
政治と報道に強かった個性が今も大学のカラーとして残っているのだろうか。片足をテロで失くしたことを銅像が正確に表現していなかったとは恥ずかしながら知らず。2019/12/22
健
9
やっと読了。やはり細かすぎる。微に入り細に入り描かれているので大きな流れが掴みとれなかった。政治家としての大隈重信と評論家としての大隈重信がごっちゃになっている感じ。個人的な希望としては「実際に何をしたのか」に焦点を当ててその人生を描いてもらいたかった。そうすれば一冊に纏められる気がした。全体的に新聞や演説を通じた発言によって幅広い人気を得ていたような印象を受けたのだけど、実際には、藩閥政治から政党政治への礎を築いた政治家という事だろうし、その功績で国会内に銅像が立っているのだろう。2025/10/16




