内容説明
政治家、言論人、早稲田大学初代総長など多面的な活動で知られる大隈重信。一八三八年、佐賀に生まれ、幕末に志士として活躍。明治維新後は、官僚として頭角を現し、木戸孝允、大久保利通、三条実美らの右腕として、参議兼大蔵卿などを務める。明治十四年の政変で失脚するも、立憲改進党を率い、藩閥政府と対峙。時流を機敏にとらえ、一八九八年には総理大臣に就任する。上巻では、若き日から念願の組閣までを描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
54
上下1000ページに及ぶ新書としては破格の大著の上巻で、第1期隈板内閣崩壊まで。海外渡航歴がなく、英語読解力もかなり乏しいにもかかわらず、長崎で英公使パークスと渡り合い、初期明治政府で外交と財政を担当するなど、その才の高さは際立っている。しかし藩閥のバックボーンがないこともあり、自分の立場の維持に苦労する様子も。慎重に下準備を進め、いざ出るときは豪胆、そして極めて楽天的で明るい性格が見えてくる。誠実な著者らしい史料吟味で、詳細な注釈もあり、明治史を学ぶ上でも必読と言える。下巻を読むのが楽しみになった。2020/02/13
かんがく
16
教科書で大隈を見ると、大隈財政、条約改正、明治14年の政変、立憲改進党、東京専門学校、松隈、隈板、第一次世界大戦と明治〜大正にことあるごとに顔を出すが、それらを結びつける一本の線は見えてこない。著者が前書きで語るように「具体的に何をしたかわからない」人物である。上巻は幕末から隈板内閣までで。佐賀藩という薩長に比べれば少数派に属する中で、木戸、三条、西郷、大久保、黒田、松方など次々に提携相手を変えながら財政や外交で活躍する大隈の活躍がよくわかる。2019/08/23
Hiroo Shimoda
11
何をやったか実はよく知らなかったので勉強。財政に明るく外交交渉に強いザ政治家。早稲田の地に大学を作ったのは土地投機の側面もあった模様。そう考えると早稲田が所沢の山にキャンパスを作ったのは精神を全く受け継いでないな…。2019/12/21
MUNEKAZ
10
上巻は隈板内閣の崩壊まで。薩長出身でなく基盤も弱いため、木戸・大久保・伊藤ら大物たちと付かず離れずで立ち回り、自らの理想とするイギリス型の議会政治を目指して奮闘する姿を追っていく。やっと掴んだ理想も政党内の対立で自壊してしまうのだけど、なんとこれが折り返し地点。まだ400頁近い下巻があるのだから、そのめげないバイタリティに恐れ入る。意外な点としては、渡欧経験がなく英語の知識にも乏しかったこと。また遊説家のイメージもあるが、本格的に始めたのは、テロで片足を失ってからだということ。とにかくパワーがすごい。2019/07/23
健
8
力作。個人的にはやっぱり若かりし頃の活躍に胸躍る感じ。にしても長い。これはこれで一つの成果だと思うけど、半分に削れたんじゃないかというのが読書量が激減している自分の個人的な正直な感想。2025/08/01
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