内容説明
日々、進化する日本の歴史教科書。その一方で、「物語のない教科書はつまらない」「戦後史観は信用できない」という「普通の日本人」も増えつつある。そこへ「あのベストセラー」が登場した――現在の書籍やウェブ上に蔓延する日本史俗説を、人気教師が豊富な資料で易しく徹底解説。「社会科学としての歴史学」とはなにか。教科書の記述はなぜ変わるのか。もう騙されないために知っておきたい、歴史リテラシー入門102講。ウェブ上で大反響を呼んだ「こはにわ歴史堂のブログ」連載(80万字)を、大幅加筆改稿のうえ書籍化(全二冊)の古代~近世篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
南北
44
百田氏の『日本国紀』の誤りに関する指摘や補足を丁寧に行っている本。時代は古代から幕末まで。『日本国紀』の元ネタは数十年前の教科書・Wikipediaなどのネット情報・その他俗説といったところが多いようだ。指摘された点は納得できる説明が多かったが、疑問に思うところもいくつかあった。最近の教科書でどう教えているのかを知ることができた点は良かったが、百田氏のエキセントリックな文体とのバランスを取ろうとして、違う方向に偏ってしまったように見えたのは少し気になった。2020/12/20
サケ太
21
俺は歴史がわからない。歴史の教科書に書かれている事項についてあまりにも丁寧に書かれており、日本史の様々な誤解について認識、再確認が出来る。日本国紀の内容に関する訂正、とった内容だが、細かい部分やかなり重要な部分の訂正(全てを否定するようなものではない)は日本国紀を読んでなくとも非常に勉強になる。わかりやすく切り捨てていた部分。偏見から、時の政権が怠慢だったと考えていた部分はあった。だが、決してそうではなかった。研究は進み、教科書の内容は年ごとに精度を増している。下巻は明治以降。苦手とする時代なので楽しみ。2020/12/18
駒場
11
百田尚樹の歴史エッセイ(と呼んだほうがいいか、歴史エッセイに失礼かも知れないが)『日本国紀』の事実誤認などを正してくれる本。幻冬舎にはまともな編集や校正がいないのか、寝ながら仕事してたんかと言いたくなるほどのツッコミの嵐に根気よく礼儀正しく向き合う様には頭が下がる。「歴史"で"語るのではなく歴史"を"語る」「Wikipediaをそのまま引用しない」「学生時代に習ったことは逐次アップデートする」「無闇に時代の変化を断絶として捉えない」と、市井のなんちゃって歴史博士には耳が痛い内容なことは間違いない2022/04/20
なーちゃま
7
再読。何回読んでも面白い。浮世博史先生、YouTubeで見かけたけれど優しいおじさん先生といった感じで非常に好感が持てた。読めば読むほど、ああこの人歴史を愛しているんだな、と感じる。何度でも読みたい。2021/01/27
なーちゃま
7
『日本国記』を読みながら、「これって本当に正しいのか…?」と思い歴史家の見解を探していた時に「こはにわ歴史堂のブログ」を見つけた。その文章が加筆されて本になったのが本書。読み直したが、本当に素晴らしい。これを読めば、歴史がれっきとした科学であることが理解できる。人は最初に聞いた歴史の説明や、複雑さを捨象した“わかりやすい”説明をを自分の型としてしまうことが多く、1度身についた誤った知識と歴史観はなかなか修正しづらい。私も本書のような科学的に書かれた歴史の本で、絶えず知識をアップデートしていかねばならない。2021/01/21