講談社学術文庫<br> 哲学者ディオゲネス 世界市民の原像

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講談社学術文庫
哲学者ディオゲネス 世界市民の原像

  • 著者名:山川偉也【著】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 講談社(2020/11発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061598553

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内容説明

ギリシアの枠を飛び越えた「犬哲学者」の実像

甕(かめ)の中に住まい、頭陀袋(ずたぶくろ)を下げ、襤褸(ぼろ)をまとって犬のようにアテナイの町をうろつき、教説を説いたシノペのディオゲネス。おびただしい数の逸話で知られる「犬哲学者」の思想とは、いったいどのようなものだったのか。アリストテレス的人間観や当時の伝統・習慣を全否定し、「世界市民」という新しい理念を唱導・実践した思想家の実像を探り出し、われわれ現代人の生き方を模索する。

「犬」と呼ばれたシノペのディオゲネス。ひとは彼についてどれほどのことを知っているだろうか。(略)昼日中にランプを灯してアテナイの雑踏を往来しつつ「わしは『人間』を探している」と言い放ったとか、なにかそういう類の奇抜な逸話が知られているだけではあるまいか。だが、知るべきはこの男の生き方、その根底にあった「世界市民」思想だ。――<「序章」より>

目次

序章 「世界市民」の原像としてのディオゲネス
第1章 「ディオゲネス伝」読解のために
第2章 シノペ――通貨変造事件前夜
第3章 シノペ――通貨変造事件当日
第4章 通貨変造事件直前・直後の&#39002;末
第5章 象徴戦略としての「犬」、そのシンボリズム
第6章 狂ったソクラテス
第7章 ディオゲネスとアレクサンドロス
第8章 ポリス的動物と「獣」のアナロギア
第9章 ディオゲネスの奴隷批判
第10章 自足して生きる
第11章 アリストテレスの正義論
第12章 世界市民への道
終章 世界市民主義の地平

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノコギリマン

23
ぼくもノミスマをパラハラッテインしようと思いました。2015/10/26

karatte

14
『古代ギリシアの思想』ですっかり虜になってしまった山川偉也先生渾身の一撃である。丹念な考証や、ときには軽妙な比喩を交えつつ一歩一歩着実に結論へと向かう確固たる文体は健在。ディオゲネス伝にも名の見えるアレクサンドロスとの対比から、彼の師でもあったアリストテレスの人間定義及び正義論を切り崩していく様はスリリングですらある。学術文庫とはいえ、専門書ではない一般書での、かように読み応えある思想分析は見事というほかない。あとは断腸の思いでカットせざるをえなかった「貨幣変造事件真相解明」部分の書籍化を切に願うばかり。2013/04/20

Saiid al-Halawi

8
「ノミスマをパラハラッティンせよ」2015/06/30

壱萬参仟縁

8
NGOらの現代地球市民と、古代世界市民の相違はどこか。通貨変造とは昔からあったようで、いろいろな写真が載っている。生きること、自足することの最基底にあるのは、フュシス(動物的自然)(112ページ)。世界市民国家(コスモポリス)(205ページ)。自分で自分自身を支配するのが自足(300ページ)。自足できない現代の食事はカネを他人に出すこと引き換えに、他人に支配されていると解するのは納得。この注目できる自足哲学は偶運(テュケー)でも勇気を与えるということ(414ページ)。敢然とした態度はそうは取れないのだが。2013/01/01

信天翁

4
犬と呼ばれた哲学者ディオゲネス。彼がいかにホームレス化したかという哲学史的部分とアリストテレスの交換的正義の偽善性を暴きながらディオゲネスと対比させる哲学思想的部分の、大きくわけて二部性。手法は貨幣概念において経済学を入れつつ論理学(数学的な応用論理学)のミックス。ロールズにもほんの少し触れていて、そこでコスモポリタニズムの障壁がパトリオティズムだったという記述も。世界市民主義については紙幅少なく、主眼はディオゲネス。2012/02/23

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