内容説明
雪ん子のゆきは、天と地をまっ白な雪で清める、雪のじんじい・ばんばあの一人娘。ある日、じんじいのいいつけで下界に降りたゆきは、百姓の味方になって、野盗や地主・侍軍と戦い、最後に百姓たちの心の中に生きる魔神に挑戦する……。戦国時代の東北の農村を舞台に、立ち上がる農民を力強く描いた、幻想味豊かな力作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あおさわ
5
まさにジャンヌダルクのようです。 ゆき自身は心の根の優しい 気弱なくらいな女の子なのですが 徐々に人のため、皆のために 野侍の群れや国の侍たち、 ついには百姓の心に巣食う魔ともいうべき 存在に立ち向かう。 人の世の道理も不条理も 東北の言葉で時に強く時に優しく 時に無情に語られる様は まっすぐと心に響いてきます。 特に村のリーダー的存在の爺様の言葉は 含蓄がありますね…。 爺様の影響を受けて親方も まっとうに怒れるちゃんとした「親」に なっていくのもよかったですね。 心に残る名作です。2021/05/13
かち
2
さすがに「骨太」と言われる物語…全体の先行きの事を考えなければ、自分たちの家族も護れなくなる…それを分からせるのが年寄りの役目…耳が痛いですよね… そういえば解説で、斎藤隆介さんが、インテリア雑誌「室内」に在籍していたことを知りビックリしました。もうすでに廃刊してしまいましたが、いい雑誌でしたよ。たまに読んでました。2013/04/26