内容説明
嫉妬と愛憎渦巻くバレエ・ミステリー!
東京グランド・バレエ団の創立15周年記念公演の演目が「ジゼル」に決定し、如月花音は準主役のミルタに抜擢される。このバレエ団では15年前、ジゼル役のプリマ・姫宮真由美が代役の紅林嶺衣奈を襲った末に死亡する事件が起き、「ジゼル」はタブーとなっていた。
そんな矢先、目撃された真由美の亡霊。公演の準備を進める中、配役の変更で団員の間には不協和音が生じ、不可解な事件が相次いで……。
これはすべて真由美の“呪い”なのか?
「ジゼル」の封印を解いた時、悲劇的な死を遂げたプリマの想いが甦る――!!
嫉妬と愛憎渦巻く、小説版『ブラック・スワン』がここに誕生。
華麗なるバレエ・ミステリー開幕!
※この作品は単行本版『ジゼル』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
67
物凄く楽しく読み終えた一冊でした。バレエ団の過去の事件を誘発した「ジゼル」を再演するバレエ団に起こる殺人事件の謎解きですが、常に「これからどうなるの」って思いながらページを捲っていました。芸術の世界では、配役を巡っての嫉妬・妬みは良くあることで、その感情を乗り越えてステップアップしていくものだと分かってはいるんですが、見事にその世界に引き込まれましたね。そして、最後の真相解明では予想していなかった事実が明かされゾワッとしました。時々、バレエを鑑賞しに行きますが、何時かは「ジゼル」を見てみたいと思いました。2024/06/12
こなな
59
ジゼルの解釈をしているディスカッションが楽しそう。登場人物達の人格、物語が拡がってくる。悔いなく踊りたいというバリシニコフ、ナタリア・マカロウ、亡命の気持ちが理解できた。トワイラ・サープやアメリカのバレエ界のパイオニアのジョージ・バランシン、バレエの世界が語られている。舞台が造られる工程が組み込まれている。舞台とは、すべてが結集するだけでなく結晶なのだ。小説の題名がそのままジゼルということに納得させられた。今年の2月に東京バレエ団のジゼルを鑑賞してきたところだったから、とても入り込めた。2021/07/12
えみ
54
こんなに儚く、それでいて美しく、愛と憎しみが渦巻いた哀しい復讐。それは過去の亡霊によってもたらされた。まるで無念のまま死んだ彼女が、バレエ演目「ジゼル」に憑依したように。力強く可憐、巧みに優雅、華麗な世界…バレエに全てを賭けているダンサーたちの見せる、秀麗な姿。しかし、一歩舞台から遠ざかれば嫉妬、自己嫌悪、焦燥感、心の奥底に蔓延る醜い感情。どちらもバレエの世界で生きていくうえでは切っても切り離せない本当の顔、あるべき姿の感情なんだと思った。亡霊と事件の関係は?犯人は誰?美と恐怖が寄り添うバレエミステリー!2020/10/23
annzuhime
49
15年ぶりに公演が決まった「ジゼル」。かつてジゼルの公演中にある事件が起きて禁じられていた演目。15年の時を超え、また新たな事件が起きる。バレエに関しては無知だけど、解釈がとても分かりやすくてすんなり世界に入れた。あれは死装束なのね。ホラー要素もあるのかの疑ってしまう展開。少し切ない気持ちになるけど、若きバレリーナたちがこれからも輝くと良いなと心から思った。2022/03/24
Junichi Yamaguchi
33
『ひずみ』… バレエの世界。 人生を掛けた夢は嫉妬、妬みが蔓延してしまうものかもしれない。 悪夢のlike a rolling stone 的な印象が残る。。2020/12/15