内容説明
山岳界で“ヒマラヤに残る最後の課題”と言われる一つ、ローツェ南壁の冬季ソロ単独登攀を達成し、トップクライマー入りした奈良原和志はアマ・ダブラム西壁に挑んでいた。次の挑戦の武器になる新製品のテストも兼ねているためソロを封印、登山経験もあるスポンサー企業・ノースリッジの若手技術者・柏田を伴ってのものだった。難しい登山ではなかった。だが落石で柏田が死亡、和志も大怪我を負う。そこへ追い打ちをかけるネット上の誹謗中傷と柏田の両親からの訴訟。気力を失った和志に、登山の師であり、がん癌で余命宣告を受けたにも拘らず献身的なサポートを続ける磯村賢一は、リハビリに付き合う中、あえて“課題”のもう一つ、「冬のK2」をぶつける……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
200
9月の第一作は、山岳冒険小説の本書です。笹本 稜平、初読です。K2は知っているものの、登山は超素人ですが、一挙に山頂まで駆け上がりました。冬山登山家はマゾだと思いますが、私はSなので、一生8000m級の山を登ることは絶対ありません。以前南米旅行をした時に4000m級で軽い高山病になりました(笑)2019/09/02
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
149
シリーズ2作目。前人未踏の冬のK2南南西稜、通称マジックラインからの単独登頂を目指した男の物語。名もない一人のクライマーを世界の舞台に引き上げた仲間たちとの友情の軌跡とも言える。命を賭けた八千メートル峰では、恐らくその人ならではの考え方、生き方が行動として出るのだろう。主人公である和志の山の男らしいまっすぐな生き方に好感を覚える。専門用語も多く難解な部分もあるが、デスゾーンにおける人を受け付けない過酷さには身が震えた。さあ、最終巻も読まないと。2022/06/18
タイ子
88
ソロのクライマーである奈良原和志はローツェの冬季単独登攀を達成しトップクライマーとなる。スポンサー企業の柏田とともに登山の途中、落石で柏田が死亡。ネット上での誹謗中傷が和志の登山への気力を失わせていく。しかし、ガンで余命宣告されている磯村の励ましや技術者として遺して逝った柏田の想いを胸に世界第二位の高峰、冬のK2の単独登攀を決行。誰も為しえなかった偉業を地上のサポートの中1人で挑んでいく。何のために?そこに山があるから…か。欲を言えば、もう少し今回ハラハラドキドキ感が欲しかったかな。完結編に期待して。2021/08/04
ジュール リブレ
69
シリーズ2作目。三部作の最後は先に読んでしまったので、これで完読。限界に挑む山岳小説はたまに読みたくなります。穂高や谷川岳を書いた日本のものから、今は時代とギアが移ろってヒマラヤ8千メートル、しかも無酸素、ソロ、冬季なんですね。そんな景色を眺めてみたいものです。2021/01/14
大阪魂
55
ソロシリーズ第2弾!前作でローチェ南壁の冬季単独登頂やらはった奈良原和志、次の前人未到の目標に向け同僚技術者・柏田とのヒマラヤ訓練中に柏田が遭難…バッシングに悩まされつつ、死期近い磯村やノースリッジメンバーの応援のもと世界第2の高峰・K2冬季単独をめざす!マイナス50度はもちろんオーバーハングとか雪崩の巣とかK2はまさに魔の山、でも柏田の遺したノートをもとに新ツールを生み出し見事K2登頂を実現!にしても本でなら手に汗にぎるで楽しめるんやけど実際の壁登山は一生無理ってつくづくおもた!次のマカルーも楽しみ!2024/02/12