内容説明
中米グアテマラ高地のマヤ系先住民の1960~2000年代の経験による政治民族誌。
1847年グアテマラ共和国成立後、1944年の革命を経て、現代までに、彼らは政治的・経済的な影響に直面してきた。なかでも内戦期(1961‐1996)の筆舌に尽くし難い暴力経験、葛藤にともなう変化が彼らの語りで再現される。希少なラテンアメリカ地域研究の「政治民族誌」として政治暴力の研究手法にも扉を開く。
感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
グアテマラ共和国西部での長年のフィールドワークを通して、支配的集団からの差別と搾取を受けてきたマヤ系先住民が、自分たちのアイデンティティをどのように取り戻そうとしているのかを記している。◇冒頭に人種概念に関する記述があり、これは重要。生物種としても亜種としても「自然な集団」の人間を生物学的に区分できないにも関わらず,似非科学による科学人種主義が蔓延る背景を解説している。人種は政治的な分類概念であり、人種というワードを持ち出す際はその概念が生成された経緯を念頭に置いておくことも大事なのだろう。2021/07/14