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内容説明
「ボク、豆柴太。ボクは東北の港町で、お弁当屋を営む柴ばあと、二人で暮らしてる。この町では、たくさんのひとが、何かを背負って生きているんだ……。大地が揺れて、大きな波がやってきたあの日、ボクと柴ばあは出会った……」
死者1万5899人、行方不明者2529人、国内最大級の被害をもたらした東日本大震災までもうすぐ10年。悲しみを背負いながら、ゆっくり確実に日々を生きる人々を、豆柴犬の目線から、暖かく切なく描きます。
自分を人間で、柴ばあの孫だと思っている豆柴太。娘と孫を津波で失い、たった一人遺骨を探している柴ばあ。人々を助けられなかった消防士。小学生のころ、自分のせいで、同級生を死なせてしまった女子高生。
みんながそれぞれこの港町で、一生懸命、毎日を生きています。
この港町は、あの日のすべての港町です。
「あたたかさに涙する」とネットで超話題。ストーリーと4pと4コマで構成される新しい形の単行本。
社会が大きく変わっている今だからこそ胸にせまる
「日常は永遠じゃない……今だからこそ読むべき再生の物語」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
anne@灯れ松明の火
29
梅が可憐な花を咲かせ、かぐわしい香りを漂わせている。春になると、必ず見る花。でも、花言葉は知らなかった。「なにごとにも くじけない、不屈の精神」この作品を読んだ今、忘れることはないだろう。東日本大震災で、大きな被害を受け、大切な人を亡くした人たちが、不屈の精神で、立ち上がり、前を向いて生きていく姿に、心からエールを送る作品だった。あとがきに、「東北出身でない私が描いてよいものなのか?」と悩んだとある。描いてくださってありがとう!と言いたい。 #NetGalleyJP 2021/03/06
りらこ
27
この本は、可愛い。優しい。温かい。そして哀しい。深い。 どこにも持っていけないやるせなさと、悔しさと悲しさ、寂しさを豆柴の豆柴太の目線で描く。飾らない感情でまっすぐ生きている豆柴太だからこそ、人々の気持ちを癒し時に洗い出し、内向または外に出していく。それは決して根本的な解決ではないかもしれない。でも人はやはりどこか前を向いていかなければならないこともわかっている。傷は癒えることなく塞がることもなく、その傷を傷として抱えたまま。理解しながら前を向く。そんな人たちの姿をこの本は描き出している。 2021/02/16
Roko
23
東日本大震災で柴ばあは娘と孫を失いました。豆柴太も家族を亡くし途方に暮れていたところを柴ばあに助けられました。豆柴太はお弁当屋さんをやている柴ばあを、一生懸命に守ろうとしています。柴ばあも豆柴太を大事な家族だと思っています。ふたりだから元気に生きていられるのです。 夫を亡くしてしまったけれど、この地で先生として頑張っているひろこ先生も、いつも明るくみんなのために働いてくれている消防の阿子島さんも、みんなそれぞれのつらい思いを胸にしまって生きているのです。#NetGalleyJP2021/02/14
JACK
15
☆ 東日本大震災で津波に襲われた福音浜(ふくねはま)。震災から9年が経過して復興に向かっているこの町を舞台に、お弁当屋さんを営む「柴ばあ」こと柴田さんと、震災の日に出会った豆柴犬の「豆柴太」の交流を描く物語。沢山の人や物、想い出を失った悲しみと、そこから少しずつ立ち上がっていく人々の強さと優しさを描く、心に沁みるマンガです。Twitterで最初のエピソード「おまじない」が紹介されているのを読んで泣き、単行本が出ている事を知って買いました。もっと沢山の人に読んで欲しい作品です。2021/02/01
雪だるま
12
ただ柴犬が出てくるコミックエッセイかと思って読み始めて、すぐにそんな軽く可愛いだけのストーリーじゃないんだと真剣に読みました。もうすぐあの震災から10年。大切な人を亡くし、今も悲しみを抱えながら懸命に生きている人たちが大勢いる事を、そしてそれが決して他人事ではないんだということを忘れてはいけないと改めて思いました。辛い時にも豆柴太の愛らしさに癒されていく人々の姿に私も癒されました。 #NetGalleyJP 2021/02/16