ちくま新書<br> 中東政治入門

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ちくま新書
中東政治入門

  • 著者名:末近浩太【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2020/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073440

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内容説明

シリア内戦、「イスラーム国」、「アラブの春」、石油依存経済、パレスチナ問題……中東では今も多くの問題が起こっている。しかし報道や時事解説を通してこうした事実を「知る」ことはできても、「なぜ」起こったのか、その原因を「理解する」ことはなかなか難しい。本書は、中東政治学のエッセンスを紹介しながら、国家、独裁、紛争、石油、宗教という五つのテーマをめぐり、その「なぜ」を読み解いていく。中東という大きな課題に向きあっていくために必読の一冊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

64
「はじめに」にあるように、「中東政治」を「学ぶ」と同時に、「中東」を「政治学する」という射程を持った入門書で、知識よりも考え方を重視している。例えば宗派の違いをステレオタイプ的に対立の原因として「分かった気になる」ことを根拠を持って強く戒める。これは重要な視点だと思う。特に国際政治学の枠組みをどのように中東に当てはめるかという議論は面白かった。様々な視点から中東を「切り分け」ながら、その視点ごとの見方を提示するやり方は理にかなっているように思う。ただ、経済政策の評価についてはちょっと不十分な気もした。2021/02/16

molysk

56
中東といえば、相次ぐ紛争、民族や宗教の対立など、報道で「知る」ことは多い。だが、何が起こったかを「知る」だけではなく、なぜ起こったかを「理解する」ことが、中東政治への理解を深めるために必要だ、と筆者は説く。本書は、国家、独裁、紛争、石油、宗教という五つのテーマから、中東政治を理解するための考え方を論じる。中東政治には、アラブという民族性、イスラームという宗教性に、固有の側面がある。一方で、独裁の手法など、他地域と共通の側面も見られる。これらの固有性と共通性が、中東政治を理解するために重要なのである。2022/07/18

サアベドラ

37
紛争や独裁、宗教などのテーマをもとに現代中東情勢を平易に読み解く新書。2020年刊。著者の専門は地域研究、国際政治学。全体を通して強調されているのは、中東で起きている事象を「中東例外論」で片付けるのではなく、同じ状況で他地域でも起こりうること(紛争や独裁)と地政学的に固有の要素(石油や宗教)がどのように関係しているのかを慎重に検討すべきということ。前景としてあるのは殆どの国が国家としての正当性に問題を抱えていることで、それは要するにオスマン帝国解体時のゴタゴタが未だに尾を引いているということ。もはや呪い。2021/04/07

おさむ

35
やさしすぎる概説書と難しすぎる学術書の中間を狙った入門書。国ごとの説明だと混乱するが、国家、石油、宗教といったテーマで説明されると理解が進む。産油国ほど人口は少なく、非産油国ほど多い。独裁が横行する理由は国家としての能力の不十分さと正統性に問題。独裁の大半はソフトな権威主義。不労所得たるレントの存在が民主主義の阻害要因。石油収入が増えると通貨価値が上昇し、輸入が促進される反面、輸出産業が衰退する(オランダ病気)。そもそも論はわかりやすいが本質を見誤る。民族や宗教といった固有の要素だけが紛争の原因ではない。2020/12/05

さとうしん

15
中東が特殊、例外的な地域であるという見方をなるべく排した中東政治論。国家・独裁・紛争・石油・宗教と項目別に見ていくが、「宗教」の章では宗派の違いが政治対立の原因となっているのではなく、政治対立が宗派対立を惹起するという主張に納得。また「独裁」の章でのなぜ権威主義体制が持続するのかという議論は、中東諸国というよりは日本や中国のことを議論しているのではないかと錯覚させられる部分もある。中東地域の固有性とともに、他の地域との共通性をしっかり見据えるというスタンスが非常に良い。2021/01/09

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