内容説明
B29の倍近い巨体、航続距離1万7千キロ、3万馬力――昭和16年当時の日本技術の総力をあげて取り組んだ、幻の超大型爆撃機開発計画の全貌。富嶽完成の暁には、太平洋を無着陸横断し、アメリカ本土を爆撃したのち、大西洋を横断して、ドイツ占領下のフランスの基地に着陸するという、壮大な構想をもっていた。巨大爆撃機開発にかけた技術者魂! <上下巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moonanddai
8
相当長い間読みかけのままでおいた本ですが、ある読メさんとのお話で思い出し再度読み出しました。いわゆる「ものづくり」からみた戦史というか航空工業史、あるいは中島飛行機史。あの戦争でよく言われることは、日米間の工業力の格差ということですが、技術屋さんの目から見ても、一目瞭然たるものであったようです。それを一つ一つその差を埋めていこうと涙ぐましい努力はあっても、生産力、開発力の差はどうしようもなかったようです。そこへ突如降って湧いたのが「大」社長中島知久平の、米本土爆撃機の開発という一言だったとのことです。2021/04/30
kagamin@enter
1
富嶽という爆撃機を語るため本書は日本航空史の黎明から詳しく叙述していく。中島知久平をはじめとする技術者達の物語を読み進めるにつけ、「昔の人は凄いなぁ」という思いが込み上げてくる。軍からの無茶な要求に答える若干20代半ばの青年の悪戦苦闘。日本屈指の技術者集団から生まれていく画期的なエンジン……しかし大戦末期、日本の敗色が濃厚となるなか、中島は米国本土を爆撃できる巨大機を制作する計画を考えついた。それこそが富嶽と呼ばれる巨大爆撃機なのである。航空機版プロジェクトXとも云うべき迫真のドキュメンタリー。2014/10/25
びーちゃん
0
富嶽が完成しても戦争の結果は変わらなかったと思う。しかし,日本人の精神が航空技術に反映された意味は大きい。評価42011/02/03