出版社内容情報
ヘンリー・ウェイド[ヘンリー ウェイド]
著・文・その他
中川美帆子[ナカガワ ミホコ]
翻訳
内容説明
不可解な銀行家の死。それが全ての始まりだった…。ジョン・プール警部、第一の事件簿を初邦訳。
著者等紹介
ウェイド,ヘンリー[ウェイド,ヘンリー] [Wade,Henry]
本名ヘンリー・ランスロット・オーブリー‐フレッチャー。1887年、英国サリー州生まれ。オックスフォード大学を卒業後、1908年から20年にかけて近衛歩兵第一連隊に所属し、従軍した第一次世界大戦では殊勲章と軍功章を贈られた。除隊後はバッキンガムシャー州に移住し、治安判事や参事会員を歴任した。37年に父親の跡を継いで六代目准男爵となる。1969年死去
中川美帆子[ナカガワミホコ]
神奈川県出身。英米文学翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maja
17
大戦中の国家に対する貢献でナイトの称号を授けられている金融界の実力者ガース卿が何者かに衝突された後、発作を起こして亡くなった。おりしも卿はクラブに同行した友人に新興金融会社会長から役員の誘いをうちあけて諫められたところでもある。死因に納得しようとしてガース卿の娘が新聞に個人広告を打ったことから事態は動き始める。イネズのぴんと張った緊張とそれを受け止めるロンドン警視庁プール警部の生真面目な様子もいい。面白かった。2022/11/21
イエローバード
16
第一次大戦後のロンドン。著名な銀行家のガース卿が何者かにぶつかった直後に死亡。当初は持病が死因とされたが、ビジネスあるいは相続がらみで殺害された可能性が浮上し……。警察小説の渋さに加え、上流階級の優雅な暮らしの描写も楽しく、謎解きも高いレベル。なんといっても捜査をするオックスフォード出身の紳士、プール警部がいい。美女にときめいたり、上司に怒られてしょんぼりしたり、有能なのになんだか可愛い。最後のセリフにほろり。ノブレス・オブリージュが堪能できます。3400円の定価だけが残念。2023/02/05
bapaksejahtera
12
1929年作。ロンドン警視庁のオクスフォード出、若年乍ら既に警部の主人公。叩き上げの多い先輩から冷たい仕打ちも多いが、性格の良さ等で凌いでいる。貴族ではないがナイトや準男爵が多く登場、階級社会での警察活動の困難が描かれる。ロンドンの知られた所で、銀行家が何者かと接触したか、足を踏み外し持病の動脈瘤が破裂して死ぬ。彼の娘の訴えで同じ階級の庁幹部がお義里乍ら捜査を決断、主人公が投資事業を通じた横領を暴き出す筋。巧みな人物描写と滑らかな展開で読ませるが、最後に悪漢のアタフタ振りに違和感があった。概ね可の作品だが2024/03/29
koo
9
以前読んだ「推定相続人」よりも読みやすいし面白かったです。もっと本格寄りかと思いきや予想以上な警察小説で地道な聞き込み、アリバイ崩しもあって意表をつかれました(笑)トリックの実現性に疑問符がつきますし変装の都合良さは黄金期の悪癖で好きになれませんが端々で意外性のあるストーリー展開は好感が持てました。もう少しウェイド作品を読んでみたいですね。2024/02/04
J・P・フリーマン
9
動脈瘤を患う銀行家が衆人環視の中で人にぶつかられた後にしばらくして死亡した。果たしてこれは殺人なのか? いかにして動脈瘤を破裂させたかという謎はあるものの、基本的にはフレンチ警部風の地道な捜査が主体の警察小説です。綿密な捜査と落ち着いた雰囲気に好印象を受けました。2023/07/21