内容説明
「この集で、私は石川淳さんのダンディズム、つまり精神のおしゃれを存分に示したいと思った」──。和漢洋古今聖俗を自由に往還する珠玉の随想を澁澤龍彦が精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
17
石川淳が大正期、学生の頃の東京上野界隈の様子を懐古する 「宇野浩二」。「新潮 日本文学100年の名作」でとばし読みした作家だった。1922年「夢見る部屋」を読み直してみると、「幼少の頃の幻燈を懐かしむように、不思議な天窓のある個室を家族に秘密裡に借りた男(自分)」の「秘密」を描いたものだが…妻の故郷の朋友の芸者の写真を幻灯機に写して夢見る男の姿…。芸者には自分との隠し子もおり、その子の写真も映し出して「坊ちゃん…」などと呟く。かの戦争が分断したのは、このような身勝手な男世界をみる視線なのだろう。2025/09/07
relaxopenenjoy
5
特に最初の数編が難しく挫折しそうになったので、途中のすだれ越しから読んだ。格調高くて、聞き慣れない固有名詞や難しい言葉に詰まって、サラサラ読めない(泣) 個人的には、金銭談、すだれ越し、敗荷落日、仏界魔界、コスモスの夢が良かった。2021/09/19
めんま
1
選者の澁澤龍彦の言う通り、精神のおしゃれがキマっている石川淳の良随筆が楽しめる逸品。「敗荷落日」の、荷風を慕っていたからこそ出てくる苛烈な言葉は、他にはない味わい深い一品。2020/10/08