内容説明
留学生活を終えて帰国し、女子学生と結婚した頼りない亭主の、涙と笑いの貧乏譚「うちの女房、うちの息子」、死の臭気漂う青春を過した、2人のくたびれた中年男の哀歓を描いた「入営の日」など、ユーモアの香辛料で味つけされた10編を収録。優しい眼で静かに見守るぬくもりが、行間からほのぼのと漂い出る名編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
53
ユーモアと優しさに満ちた短編集でした。静かさがあり、ほのぼのとしたぬくもりを感じます。2021/05/07
活字の旅遊人
39
エッセイ的な作品が多い印象の第三弾。全12編。戦争関連の話題は、やはり心に迫る。そこをメインにした「入営の日」は、とにかく生き延びた、という安心感が最後にグッとくる話になっている。また、灘中学関連の話題も面白い。神戸女学院の生徒さんたちは、こちらに全く関心がなかったと知ってしまうところは、男子校で同じく悶々と暮らした身には、苦笑せざるを得ない。佐藤愛子さんとの関係、ホントのところどうなんでしょうね? また全作品に共通する庶民的感覚が人気の秘密なんだろうなあ、と実感。作家が輝いていた時代、とも言える。2023/03/01
まめこ
18
★★★★☆先の2冊収録の作品といくつか設定が被る。生きるためのズルさや強欲を、逞しいユーモアとしてすくい取れる作者の感性が素敵だ。戦中の愛国心の重みと現在の愛国心の空々しさの対比に打ちのめされた「入営の日」、会津藩主の末裔だという松平青年「詐欺師」、捨てられた男への逆襲に燃える「踏んだり、けったり」、清純派歌手が取り戻して欲しい秘密の物とは「スターのかげに涙あり」うへ~(笑)2021/09/12
hirayama46
5
ユーモア小説といっても、ストレートにコメディのみを指すのではなく、重いテーマを持ったお話にユーモアをトッピングするような作品も含まれています。とはいえ基本的には軽妙な作品が多く、親しみやすい小説が揃っていました。私小説的な作品での妻の方への態度を見るに、内心はうろたえているのにかなり見栄を張るようなところもあり、周囲の人はけっこう怖かったのかもしれないな……と思ったりしました。2024/09/30
ようこ
1
タイトル通りのユーモアもあるけど、戦争の影のある話は切なかった。あの時代、戦争に駆り立てられた人たちの多くが、愛国心よりも「自分だけが逃げる苦しみ」に突き動かされたんじゃないかと思う。エッセイぽい話は、どこまで本当なのか気になる2025/11/16
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