新潮文庫nex<br> 奇譚蒐集録―北の大地のイコンヌプ―(新潮文庫nex)

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新潮文庫nex
奇譚蒐集録―北の大地のイコンヌプ―(新潮文庫nex)

  • 著者名:清水朔【著】
  • 価格 ¥781(本体¥710)
  • 新潮社(2020/07発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101801940

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内容説明

大正三年、帝大講師・南辺田廣章(みなべだこうしょう)と書生・山内真汐(やまうちましお)は北海道・室蘭港に降り立った。流れ歩く村(ヤイケ テコタン)――鬼の襲撃を恐れ、アイヌに擬態し隠れ住むその村には、男女が入れ替わる奇妙な婚礼が伝承されていた。今は亡きその村の、最後の『神に聴く者(イコンヌ )』である女のもとに彼らが辿り着いたとき、過去と現在の謎が繋がり、悲しき真実が浮かび上がる。ふたりの少女の贖罪に涙する、民俗学ミステリ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

131
せつなさと美に魅せられた一冊。時は大正時代。とある地に伝わる「鬼にまつわる婚礼」調査のため北の大地に降り立った廣章と真汐。過去と現在を描きながら哀しき真実へ辿り着くそのせつなさがたまらない。奇妙な婚礼の儀式、刺青の美、人が人を想う心の美に何回もせつなさと共に魅せられた。その一方で人の醜き心に圧倒された。次から次へと浴びせる、人を人とは思わない言葉。その言葉に何度涙と憤りを感じただろう。人として当たり前の心を失った人、それこそが鬼だと思う。せつなくて悲しくて…でも続編が読みたくなる、そんなシリーズだ。2020/07/22

nuit@積読消化中

93
南から北へ。今作では廣章と真汐は北の大地アイヌに擬態し隠れ住む一族の秘密に迫ります。今回はグロさなどはありませんが、人鬼の悲しい宿命が変わらず描かれています。大正時代の伝奇ミステリとしてシリーズは続いて欲しい。次は東北の辺りに行くのかな?続刊楽しみにしております。2020/12/08

Bugsy Malone

82
シリーズ2作目。著者のシリーズ第1作を読んだのはつい一ヶ月前、人鬼にまつわる物語はとても哀しく美しかった。そして思いもよらない2作目の発表。沖縄から北海道に舞台を移し、新たな人鬼の物語は幕を開けた。説明もなく始まる冒頭、わけも分からず読み進める。流れ歩く一族の奇妙な婚礼、「神に聴くもの」の能力を持つ少女、羆の蹂躙。惹かれる。物語に、人物に惹かれる。人鬼とは、異能を持つ者なのか、それとも鬼の心を持った人なのか。今作もまた哀しい。しかしそこから繋ぐ希望があり、学ぶべき事がある。とても素晴らしい物語でした。2020/07/15

sin

75
この作品の“鬼滅”は国策に依って造られた鬼の暴走を抑止するお役で少年はその組織からのはぐれ者であろう。鬼人を産み出す行為はそのまま差別の構造を示唆する。稀人が鬼と呼ばれ人権を奪われることと、少数民族がその風俗を取り上げられることも差別である。生存競争は勝者の一元化を謀ろうとするが、そもそも生物は多様性により進化を為し遂げたのであり、勝者と云う概念は間違いではないだろうか?ましてや同じ人が人を差別など笑止千万だ。鬼人を求める今回の探査行も喪失の物語だ。愛故に愛する人を喪う葛藤がせつない。2021/10/03

yukaring

69
奇譚蒐集録の第2弾。帝大講師でありながら趣味は奇譚蒐集である南辺田廣章と書生の真汐は人鬼の噂を求めて北の大地・北海道へ。そこで出会った駆け落ちした若い2人を助ける"今"と鬼の襲撃を恐れて隠れ住む『流れ歩く村』の人々に起こった凄惨な"過去"とが交互に描かれ、この過去と現在が交差した時に残酷で悲しい真実が浮かびあがる。危険予知の力<イコンヌプ>を持つ少女と駆け落ちした大店の娘、2人の贖罪の結末がとても切なく哀しい。アイヌのしきたりや奇妙な婚姻の風習などもとても興味深い民族学とミステリの融合を楽しめるシリーズ。2022/11/01

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