内容説明
日本のYA文学をきりひらいてきた森絵都が、直木賞受賞後はじめて描く中学生群像。中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集の2作目。うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめきや、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。だれもが身にしみるリアルさを、シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
180
予想とは若干違って、上巻と同じ調子のまま淡々と進んで1年が終了した。まさかの「全部を知っているのは読者だけ」な展開でした。今も昔もこれがリアルな中学生だと言われればそれはそれで納得だけど。2014/09/02
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
104
すごく良かった!前期よりも吹き出したりジーンときたりウルッときたりする場面が多くてしみじみした♪田町の伴奏に号泣した藤田先生、堤先生に熱烈に恋する日向子、「人間にあげたかったんだ」とバレンタインデーに蒼太にチョコを渡すレイミー、アリスの◯◯を守るために走る里緒とそれを応援する真琴、一年A組解散パーティーでの出し物やみんなのやりとり、「ぶじにクラス委員長のつとめを終えた気分」に浸りたくて残った教室で新たな想いに気付くヒロ。なんだかみんなと一緒に一年を過ごしたみたいで感慨深くなった。藤田先生のキャラもナイス☆2014/10/07
愛
96
中学校生活なんていつも主体で外からの目線で見ることはありませんでしたが、こうして第三者として見てみると、ほんの小さな行動が相手の人生を変えるほどの大きな影響を与えているんだと気付きました。私も誰かに変えられて、誰かの人生を変えたのかな、なんて感慨深くなったり。中学校生活では小さな物事が大きな悩みになって、その時はもう明日の事さえも考えられなくなるけれど、いつかその事を思い出す日が来るから悩むのにも意味があるのかなと思います。それと同じで、今日の事も、いつか思い出すのかな…。だったら、今を、楽しまなくては。2014/09/22
ぶんこ
76
終わってしまいました。面白かったです。中学1年の頃を思い出してしまいました。解散パーティーでの皆と藤田先生。最後の色紙と花束贈呈を田町さんと近藤君に譲った真琴さんとヒロ君も素敵。最高なのは藤田先生。解散パーティーでの様子には心が温かくなり、生徒の親代わりに感謝の拍手をおくりたかった。美奈さんとゆうかさんもが仲直りできたのも嬉しい。何より、こんな素敵な1年間を過ごした24人+1人の生徒・先生が微笑ましくも羨ましい。2016/08/25
名古屋ケムンパス
75
24人の物語を語ることで1年A組の中学の1年間が見事に綴られます。読者もいつの間にか1年A組の仲間の一人としてクラスメイトたちを見つめることになりました。子どもじゃないけど大人でもないこの時期の生徒はきっとこんなふうなんでしょう。頼りなげなんだけど、思い込みだけで行動もする不安定な少年少女達が、精一杯生きている姿にエールを送りたくなりました。甘酸っぱい気持ちを抱いて読了できます。(終業式の日の解散パーティーでの替え歌「尾びれをください」、これは最高です。)2014/12/29