ちくま新書<br> 死の病いと生の哲学

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ちくま新書
死の病いと生の哲学

  • 著者名:船木亨【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2020/07発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784480073297

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内容説明

批評家ソンタグはこう言っていた。人は「健康な人の国」と「病気の人の国」のいずれかに属する、と。本書は哲学者自身がガンになった経験を通じて、「病気の人の国」の現実を見つめ、生と死について考察した記録である。死への恐怖はなぜ起きるのか。死に直面することでなぜ人は初めて根本的に懐疑し、真に思考するようになるのか。東西の哲学者たちによる病や死、老いについての考察も参照しつつ、「健康な人の国」の人々には見えない世界と人生の諸問題について深く問いなおす。

目次

はじめに
プロローグ
二種類の死
死の衝動
【哲学的断章1】人生論考
第1章 がんとの遭遇
ある日のこと
病院に行くということ
タイミング
現実なるもの
死と物語
がんになるのは不公平か?
病気の人の国
【哲学的断章2】群れとしての社会
第2章 死
生の条件
メモを残す
何を遺すべきか?
死への恐怖
死後の世界
故人の記憶
葬儀
【哲学的断章3】死と魂について
第3章 いかにして歳をとるか
人は死ぬ
母のこと
年齢道徳
自然の歯車
【哲学的断章4】人生の大いなる車輪
第4章 がんという「病気」
死因としてのがん
五年生存率
新薬を待つ
がんは治るか?
がんは原因か?
タバコ
確率と必然性
確率論的思考
がんという現象
がんとの戦い
拷問のような治療
抗がん剤
免疫療法
第5章 がん病棟にて
多と一
苦痛は心にある
体と心
代替療法と民間療法
病院のスケジュール
インフォームド・コンセント
ある医師との会話
治療の主体
病気との戦い
第6章 助けを求めて
尊厳死
生活の質
患者の勇気
縛られたプロメーテウス
抗うつ剤
カミングアウト
家族
情けなさ
生老病癌死
第7章 生と命
選択
責任
後悔しない生き方
エピメーテウス
運命
生の拡張
手術
器官なき身体
エロスとロゴス
【哲学的断章5】知覚と生
第8章 老いについて
余命と余生
寿命
がんと老化
老いたということ
永遠の若さ?
老いの価値転倒
終活?
老いの自覚
怒りは愛の欲望である
子どものような年寄り
おとなと子ども
老人の寛容さとは
【哲学的断章6】魂の声
エピローグ
邯鄲の夢
若者と老人
個体の進化論
人生の物語
あとがき
人名・書名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

あび

14
死に直面した時、初めて生を意識する。これまで当たり前のように続いてきた自分の命の重さを感じる。病におかされ蝕まれていく生への執着が強くなる。自問自答を繰り返し、これまでよく生きてきたかどうかを考える。そしてまた、これからなにをしてどのように残りの人生を過ごすかに慎重になる。死が迫れば、人は皆、哲学者となる。2020/10/01

ケニオミ

10
本書を読んでの感想です。健康でいる間は、自分が未来永劫生きるのではという考えを、心のどこかにもっていますね。しかし、死病に罹ると、それが単なる幻想にすぎず、今まで健康に感謝しきれていなかったことに思い当たります。そして、残された時間に何をするべきかを考えざるを得なくなります。そこで、人生最後の目的を見出すことができれば、非常に幸運なことでしょう。それには多分ある程度のお金が必要になるとは思いますが・・・。 2020/10/10

くれは

3
暑くて感想をまとめる気力がないが1点だけ・・・。この本は、このままではおそらく届けられるべき人に届かない。ぜひ医療ケアに向き合われている哲学者(榊原哲也さんや國分巧一郎さんなど)と対話・討論されて、そのダイアローグを書籍化いただけないでしょうか。「病気の人の国」と「健康な人の国」の断絶を埋めることは難しいかもしれないけれど、最初の丸太橋一本をかけられるのは著者をおいてほかにいないと思います。2020/08/12

オランジーナ@

2
エッセイかな2022/09/10

げんさん

1
私のかかった病院では、各診療科の連携があまりうまくいっていないように感じられました。あたかも、それぞれの診療科が1個の病院のように振舞っています。「総合病院」ではなくて「雑居病院」ですか?患者は自分の病気を質に取られている。哲学者はうまいことを言う。2021/08/02

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