内容説明
少年が自分の将来の夢を見つける物語。
お父さんの影響で、外山くんは、ギターが上手だった。
しかし、大好きなお父さんとお母さんは、離婚することに。裏切られた気持ちで、それ以来外山くんは、ギターに触れることはなかった。
そんな外山くんの楽しみは、ギターではなく、リコーダーだ。秋の演奏会に向けて一生懸命練習していた。
そんなある日、ギターの名手だったバンドの子が、腕に怪我をして、ギターを弾けなくなってしまう。その代役として、外山くんがギターを弾くことになる。
バンド練習の中で彼が、つかんだものとは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン
38
学校現場にいると、子ども自身の力ではどうにもならないことに苦しんでいる、傷んでいることに遭遇します。ただその多くは見えないところが本当につらいし、何とかできないものかと怒りにも似た気持ちがふつふつと湧いてきます。2023/06/10
どら母 学校図書館を考える
18
子どもの貧困。貧困の連鎖。悲しすぎるエピソード。そこに音楽が絡んでくる。 でも救いの見えるラスト。 2022/05/10
雪丸 風人
13
楽しかった父との思い出の詰まった大切なギターは、母が棄てられた日から忌まわしさの象徴に変わった。貧しく荒んだ生活の中で12歳の少年が翻弄されつつ踏ん張るという物語。葛藤に次ぐ葛藤が重苦しくもありますが、主人公がしがらみを捨て去り、進みたい道を思い描けるようになるところは良かったですね。正直、不幸や貧困を描くにしても、ここまで主人公一家を突き落とす必要があったのかという疑問は残りました。ただ、社会的弱者の目線を知り、多様な価値観に触れるという意味では、勉強になりそうな本です。(対象年齢は11歳以上かな?)2021/03/18
柊子
12
とても良かった。久しぶりに、読みながら涙が出た。子供の力ではどうすることも出来ない、もどかしさ、悲しさ、理不尽さ、そして大人の身勝手さ。それらが一気に押し寄せてきて、読むのが辛くなる。優しくて、ギターの上手なお兄ちゃんが大好きな妹。そんな兄妹に我が家の孫たちが重なってしまい、また泣けた。「この国は貧しいんだよ!」先生の怒りが胸に刺さる。友達の三田口君とともに、これからも強く、心やさしく、生きてほしいと願う。希望の見えるラスト。2025/03/26
Mayuko Kamiwada
8
外山優太の家は母子家庭だ。 母親の仕事だけでは支払いが足りず、修学旅行に行くことを断念する。 不運が続く優太に大事にしていた妹の美咲まで失ってしまう。 暮らしていく中で、自分ではどうすることのできないままならないことに傷つきながらも前へ進む。2022/11/17