講談社学術文庫<br> 日本の庶民仏教

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講談社学術文庫
日本の庶民仏教

  • 著者名:五来重【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2020/06発売)
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  • ISBN:9784065196113

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内容説明

日本人は宗教になにを求め、なにを信じてきたのか? 仏教は思弁的な教義や哲学、僧侶の支配、また優雅な仏教芸術のみで語られるものではない。インドから中国、朝鮮を経て、欽明天皇十三年(西暦552)に日本に受容された仏教は、庶民の間で不安や苦痛、悩みからの救済として取り入れられ、それぞれの生活や慣習に合わせ独自の伝播と発展を見せた。観音信仰、ヤマ信仰、高野聖にイタコ、踊り念仏、お遍路さん――多種多様な民間宗教の形から、日本の仏教文化を問い直す。(原本:角川選書、1985年刊)

目次

1  日本仏教の特性
日本仏教と民間信仰
僧侶の肉食妻帯
庵と堂――庶民信仰の寺の発祥
日本仏教と葬墓
日本仏教と呪術
日本の観音信仰
2 山の信仰
日本の山と修験道
霊山と仏教
高野山の浄土信仰と高野聖
山の薬師・海の薬師
山岳信仰と弥勒菩薩
3 遊行者の仏教
巡礼・遍路の信仰と歴史
遊行・放浪の仏教
一遍の時衆と融通念仏
遊行の聖と罪の文化
4 仏教と芸能
仏教と芸能の世界
説経から「語り部」へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

27
葬式仏教だの祈禱仏教だの批判するが、いやむしろ庶民は小難しい説教よりもその日の糧、死者の弔いと慰め、病者の治癒をこそ望んでいて、暖衣飽食して立派な寺に住む教団の僧ではなく、自ら手を汚して死者を浄める、半僧反俗で肉食妻帯の、法の埒外に置かれて庶民に溶け込んで生きる私度僧こそが、その望みを叶えてくれるとされた。山伏や苦行僧、高野聖や融通念仏など多岐にわたる主題に共通するのは、教科書の仏教史とは別の、それと並行して脈々と流れていた、仏教以前からの日本人の心性に基づく、より実存的な仏教史の再評価への熱い意志である2020/08/13

Go Extreme

1
現実の生活における利益 家教的な信仰 祖先供養 (日本独自) 系譜的な霊魂観 弘法大師信仰 (庶民的変容) 踊り念仏 (共同体安全祈願) 死霊鎮魂 日本の他界観 (常世) 呪術と宗教の関係 祈祷仏教 宗教の生命力 (祈願・祈祷) 山岳信仰 (庶民信仰の根幹) 山は霊魂の世界、他界 修験道 厳しい苦行 (滅罪・即身成仏) 立山地獄信仰 巡礼・遍路 遊行者 (六十六部、うかれめ、御師、山伏) 半僧半俗 勧進と芸能 行為的・即物的な信仰 物の媒介と奇跡への期待 教団仏教とのずれ 神道・民間信仰との融合2025/04/21

mandaraderluste

1
仏教民俗学の泰斗による直球なタイトルの著作。主に寺門向けの雑誌に載ったもので読みやすい。内容は多岐にわたるが、私が気になったのは、五来の問題意識と「地の仏教」の中世から近代に至る馴致の過程との関係である。民官の仏教が併存する中で、近代以降民も官製仏教を内面化している。ここには「日本近代仏教の起源」とでもいうべき大きな問題が存在するのではないか。また個人的には五来が『日本霊異記』を大変重視していることに驚いた。同じ大学にいた父は五来から何か直接示唆を受けたのだろうか。父の著作をいよいよ読まなくてはと思った。2020/08/13

Autumn

0
まだ読む段階になかったか。読みにくいが、それはこちらの知識不足が原因か。庶民仏教についての体系化された説明を期待したのが間違いだった。様々な話題が列挙されており、その繋がりや本の全体像が掴めない。もっと知識をつけた状態で再度目を通せば違った感想が抱けるかもしれない。2025/08/09

なをみん

0
原本は1985年。「大多数の庶民はその仏教らしからぬ民間信仰的仏教で、日常生活に安心をえて~お寺と僧侶を必要とした」ことについてのいろんな話。現代の自分的にも感覚的にいろいろとしっくりくる説明も多くて興味深い。山に感じる宗教的感覚とか仏教と芸能の話もなるほどと思う。善光寺他、知らなかった近場のネタも多数あって刺激的でした。2023/08/07

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