ちくまプリマー新書<br> 「さみしさ」の力 ──孤独と自立の心理学

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ちくまプリマー新書
「さみしさ」の力 ──孤独と自立の心理学

  • 著者名:榎本博明【著】
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 筑摩書房(2020/05発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480683755

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内容説明

自分の内面に目が向かうようになる青年期。誰とも違う個別性の自覚とともに、痛切な「さみしさ」が生まれてくる。わかり合える友だちを求めながらも、心の中をのぞかれることへの抵抗感や比較意識からくる不安も強い。自立へと歩み出すために、さみしさの意味を見つめなおす。

目次

はじめに
第1章 「さみしさ」を感じるのは自立への第一歩
自分が嫌になることがある
親の言葉や態度に、なぜかイライラする
もう言いなりではいられない
秘密をもつ
わかってほしい、でも見透かされたくない
依存と自立の間で揺れる心
タテの関係からヨコの関係へ
第2章 自己の個別性への気づきがもたらす「さみしさ」
自分と向き合うことで芽生える自己意識
自分だけみんなと違うように感じる
自己の独自性の意識と孤独
自分はどこに向かっているのか
自分の人生は自分で背負っていくしかない
だれともわかり合えないさみしさ
孤独だからこそ自意識を麻痺させることも
間柄の文化の住人だからこそ切実な孤独感
幼い頃を懐かしむ心理の意味するもの
出産外傷説
胎内回帰願望
第3章 つながっていても孤独
仲間といると気が紛れる
つながっていないと不安
盛り上がった後のさみしさ
一人でいられない症候群?
社交のもつ本質的なむなしさ
一緒にいてもさみしい
道化のペルソナが外れない
社交家のさみしさ
群集の中の孤独
SNSが助長する浅いつながり
浅いつながりの世界から脱したい
第4章 孤独だからこそ、人を切実に求める
世界からの疎外感
さみしいからこそ、人と深くつながりたい
恋愛は幻の橋かけ作業
さみしさの足りない時代?
自立に向けて突き放してくれない親
子どもを み込み、自立を許さない母性
秘密をもち、反抗して、自分づくりに向かう時期
第5章 一人を持ちこたえる力
さみしさを取り戻す
一人でいられる力がないと不毛なつながりに縛られる
見捨てられ不安を克服する
強すぎる甘えを克服する
一人にならないと心の声は聞こえてこない
ときには退屈な時間を過ごすのもよい
一人でいられるのは成熟の証
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

78
幼い頃暗い部屋で一人さみしく泣いていた記憶。子どもの頃は「さみしさ」を感じやすいもの。今の学生たちは一人ぼっちを極度におそれ、SNSでつながろうとする。周囲に気を使う傾向を、欧米の「自分中心の文化」と比べ、日本では「間柄の文化」と特徴づけている。日本では自立をさまたげる要素として親との関係にも言及する。森鴎外を例に出して子どもと距離をおくのを意識的にすることを伝える。さみしさは自立への第一歩。一人をもちこたえる力をどうやって育てるのか、親との愛着の絆があれば、あとはあえて放っておくことが大事なのではないか2020/07/15

future4227

59
2021年入試の栄東中、市川中などで出題された本。人は誰でもさみしさを感じる瞬間がある。そう感じる背景にどんな心理が働いているのかという考察。やはりSNS漬けの生活は良くないね。SNSは所詮上辺だけのつながりでしかない。時には一人ぼっちになって思索にふけったり、退屈な時間を過ごしたりということが大切だと筆者は言う。また、褒めて伸ばす教育が蔓延し友だち親子が増えたことで、多くの若者が反抗期を奪われ自立できないでいるという警告も。親は意図的に子どもを突き放すべきだという。親にとっては耳の痛い話である。2021/09/13

46
さみしさのちから。それは、自分と向き合うちから。さみしさの観点から、子どもが成長する過程での内面の変化、親離れ子離れできない親子について等語られる。寂しいことは悪いことだと思ってしまいがちだが、そうではない。自己を確立するために必要なもので、誰の中にもある。安易にSNSや誰かと過ごすことで誤魔化さず、ひとり自分と向き合い、自分の心を育てることが大切。個々に持っている心、そのすべては分かり合えない。時に傷付き、それでも働きかける。分かり合う一瞬のために。そうやって、さみしさと共に生きていくしかないんだなぁ。2021/02/22

ゆう。

29
さみしさを自覚するのは、私という一人の人として自立していく過程。でも現代社会は何かに依存的であるために、自立するためのさみしさは難しいのだろうなと思いながら読んだ。2020/07/26

テツ

24
個人的には独りで過ごす時間「も」楽しくて満たされるので(大人数で遊ぶのも大好きだけれど)孤独に苛まれる感覚というのが理解できないけれど、そうしたことについて悩み苦しむ若者に向けて、孤独やさみしさからは自分自身の新しい力が生まれるので悪いことばかりじゃないんだぜという気づきを与えてくれるだろう一冊。偉そうな発言になってしまうけれど、独りきりでとことんまで自分自身だけを相手に何かを考え抜いた経験がない人間って、絶望的にまで面白みがなく会話をしても楽しくないことが多い気がする。自分自身と向き合う時間は大切だ。2021/04/21

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