内容説明
数学と暦に基づいて通常の物理法則を超越する科学体系〈暦法〉を駆使し、広大な宙域を支配する星間専制国家〈六連合〉。この国の若き女性軍人にして数学の天才であるケル・チェリスは、鉄壁の〈不変氷〉シールドに守られた巨大宇宙都市要塞・尖針砦で起こった反乱の鎮圧を命じられる。ただしそれは、シュオス・ジェダオ――史上最高の戦略家にして、敵味方もろともに百万人以上を虐殺した最悪の反逆人――の精神をその身に宿す、という条件つきだった。ローカス賞第一長編部門受賞、ヒューゴー賞・ネビュラ賞候補の、魔術的本格宇宙SF!/解説=渡邊利道
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
20
もっと気を入れて読めば良かったのだろうか?正直、構築された世界や用語などが独特で、最後までよく分からなかった。作品世界に入れなかったということで、もし、これから読む人がいるなら、結構、疲れますよとだけ言いたい。2020/03/27
もち
19
「武器は銃ではなく、心だ。たしかきみも、そういわなかったか?」◆異端の暦に汚染された、難攻不落の砦。奪還作戦に抜擢されたのは、最高の戦略家だが最悪の虐殺者でもある男を憑依させた、若き女性大尉だった。九尾がもたらす策謀と信念で、敵に抗え――■シリーズ第1作。暦と配列により、魔術のような攻撃・防御・攪乱効果を発現できる世界。影で縫われた数学と戦争の天才が展開する、誰も見たことのない包囲戦。無惨だが美しい終盤戦では、大破壊と共に謎が氷解する。2020/03/13
緋莢
16
星間大国「六連合」では、数学と暦に基づき、物理法則を超越する科学体系「歴法」が用いられていた。六連合の若き軍人・チェリスは、巨大宇宙都市要塞で起こった反乱の制圧を命じられる。しかも、史上最高の戦略家でありながら、敵味方もろとも100万人以上を虐殺した反逆者の精神をその身に宿して、というもので…『本の雑誌』で大森望さんが紹介していて、興味を惹かれた作品。「歴法」、「六連合」、鉄壁の「不変氷」シールドなど、あらすじに書かれた これらの言葉にワクワクしながら、読み始めたのですが(続く2020/08/09
Mc6ρ助
13
自称SF読みの爺さま、名乗りを撤回しなければならないかもしれない。アーサー・C・クラークの「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」を地で行くような世界観、「暦法」って何?には何一つ答えを得られないが理解せずともストーリーは進む。これで三部作と言われては、次に進まざるを得ない。2021/09/21
本の蟲
13
数学と暦に基づき物理法則を超越する「暦法」と、それを駆使する星間大国「六連合」。連合内下級士官である主人公は、優れた戦略家にして狂った虐殺者として知られるジェダオという人物の精神を身に宿して、異端に占拠された砦の奪還作戦の指揮を命じられる。設定は悪くないが、いかんせん難解。「暦法」と連合の政治体系、常識も把握できないまま、様々な役職の登場人物(しかも名前がわかりにくい)が一気に出てきて混乱する。ジェダオの過去と虐殺事件の真相も終盤明かされたはずだが、動機についてもいまいちよくわからない(続 2020/05/31