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内容説明
それぞれの過去が明らかになり、そして物語は結末を迎える──。バブルの夜の東京で男を巡るキャットファイト、海賊の島で妻に逃げられ火を放たれた教師、山猿のように一人で育った幼なじみの少女、密輸船で渡った国で出会った初恋──。傷つき寂しく過酷な過去があっても、大切にしたい何かがあれば、現実が夢の世界に変わることもある。山の中の静かなホテルで、人々は自分を取り戻してゆく…。加筆分60ページ強を含む完結巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いっちゃんず
24
再読。山奥にあるホテルの物語は、ホテルの従業員や関係者の過去と未来についてが中心に。飛石やリウフェイの過去、マリエの話、ややさんがホテル敷地から出られない理由。どう考えても物語が詰め込まれ過ぎだし、ナツ少年の未来についての話も消化不良気味。けれどもそこをなんとかうまーくまとめてキレイに完結させている(ように感じさせる)のが、有間しのぶさんの力なんだろうなぁ。2018/02/18
JACK
17
☆ 田舎の山の上にあるホテルポパン。アットホームな雰囲気と行き届いたサービス。料理もお酒も一流で、静かでくつろげるそこは口コミで人気を博してきた。しかし、そこで働く従業員たちは、複雑な事情を抱えており、様々なドラマがあるのだった。わずか2冊のマンガなのに大河ドラマの様な内容の濃さ。それぞれの物語はしっかりと伏線を回収しながら大団円を迎えます。加筆分60頁以上を加え、完結したこの素晴らしい物語。読めて幸せでした。「その女、ジルバ」もこの作品も有馬しのぶさんの作品はいずれもオススメ。昔の作品も探して読みます。2019/02/09
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
12
登場人物の過去が全て明らかになっていく。山の中の小さなホテルで人は傷を癒し、傷の癒え具合と共に活動範囲を広げていく。そして傷が癒えたと得心できたなら、再度ホテルに戻り多くの人を受け入れていく。「珈琲いかがでしょうか」に絵柄と不似合いな暴力シーンがあったのも意外だったけど、映画にしたらかなりのバイオレンスシーンだろうなというものが結構あって、そこまでの傷つき度を設定しなくても再生の深さは感じられるのにな、とも。お料理がとにかく美味しそう、そしてお花の描写も匂ってきそう、この絵柄ならではの世界。2019/01/08
みやしん
5
皆狂おしいまでに壮絶な過去がある。その過去から止まっていた時間にそれぞれが決着をつけていくのが本巻の流れだが、それでも一番心に残ったのは「歌声は空に溶けるのね」のシーン。それぞれに戦友めいた人がいてくれたことが崖っぷちの救いになっている。オーナー中心に人間関係の設定が一部あやふやになっているのはご愛敬。レーベルが変わってもとにかく完結してくれて良かった。粋な会話が実に魅力的。
紀梨香
4
みんなの過去が重いのに、全体のムードは温かくて、きれいなラスト。読んでよかった…と思える物語でした。2017/12/14