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内容説明
自由の命運を左右する「狭い回廊」への道は一様ではなく、またそこに留まるのも容易ではない。成長著しい中国の繁栄に潜む罠、世界最大の民主主義国と言われながら、カースト制度という見えない「規範の檻」に縛られたインド、アメリカ合衆国のアンバランスな発展の功罪、南米やアフリカの能力を欠いた「張り子のリヴァイアサン」たち、「足枷のリヴァイアサン」が制御不能に陥ったナチス・ドイツと現代のポピュリズム運動との連続性、幅広い連合の形成によって「狭い回廊」内への移行に成功した日本や南アフリカと、失敗したトルコやジンバブエ――。さまざまな歴史の教訓から浮かび上がるリヴァイアサンの統御法と回廊内に留まるすべとは? ノーベル経済学賞の受賞が有力視される経済学者と気鋭の政治学者が20年におよぶ研究をもとに贈る渾身の書。解説/稲葉振一郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
38
では、上手くいっているところでも、未来が約束されているわけではない赤の女王効果の中で、どうやって足枷のリヴァイアサンを成立させていくのか。本書の結論はこの定義にある通り、必ず成功する方法は無いというものだ。足枷のリヴァイアサンという表現は、リヴァイアサンが必要悪という含意があり、足枷も必要最小限度という二重否定によって特徴づけられていた。それだからここまで、世界中の失敗事例と成功事例を列記し続けてきた。特定の地域や価値が優れているのではないということを示している点で分かり辛いが、それこそが真実なのだ。2025/03/12
よしたけ
34
下巻では、インドのカースト制が民主競争の活力をそいだ例、黒死病が英国社会を均衡に導いた例、ソ連民主化の試みは弱い社会により頓挫し専横に逆戻りした例、合衆国は憲法性格から州権力が強く民間動員された好例であること、見せかけ国家「張り子のリヴァイヤサン」が南米・アフリカ等多数存在すること、イスラム教解釈に幅がある為中東で専横強化に利用されること、など。政治的民主化、民主主義実現に、ノンエリート中間層・庶民の多元的な連帯をあげ、スウェーデン社会民主党主導の広い社会連帯の確立と福祉国家の形成を成功例に挙げる。 2021/01/09
sayan
21
「足枷のリヴァイアサン」は自由を獲得する文脈で、本書(上・下)の議論を支える最重要概念だ。ぼーっと読むと「社会が国家に「足枷」をすることで一層の自由への道が拓ける、求む強い社会!」とアジテーション張りの主張は耳ごちが良い。ところが、本書の議論で「不自由」とその「修正」の可能性に対して理解が進まなかった。例えば「難民」問題は、本書で言う「規範の檻」と「専横的リヴァイアサン」が共存し双方の態度が一致した所に生じる「不自由」の問題とも翻訳できる。誰がどこに「足枷」をはめるのだろう。社会は常に自由の味方じゃない。2020/05/04
ta_chanko
13
ナチスが「専横のリヴァイアサン」と化した原因は、各団体の相互不信による社会の分断。アメリカの黒人差別の要因は、連邦政府の権限に足枷をつけたことで生じた治安維持能力の欠如と、それを埋め合わせる州警察の横暴。背景には白人と黒人の相互不信。ラテンアメリカに多く見られる、抑圧的だが国家を運営する能力も気力もない「張り子のリヴァイアサン」も興味深い。結局、国家と社会の力の関係が様々な国家の形態を生む。「自由」は与えられるものではなく、国家と社会が互いに切磋琢磨して創り上げていくもの。日本社会の衰退が懸念材料。2020/06/22
Francis
12
下巻はインド、ヨーロッパ、南米、サウジの歴史を考察。アメリカ合衆国で憲法により連邦政府の権限が制約されたことが筆者の言う「狭い回廊」国家と社会の関係にどのような作用を及ぼしたかを論ずる第10章が興味深い。第15章でのスウェーデンなど北欧の福祉国家が論じられているが、著者たちはイノベーションが活発に行われ、格差が少なく人権が保証されているスウェーデンがモデルとしてふさわしいと考えているようだ。第14章で私が会員になっているアムネスティ・インターナショナルが好意的に取り上げられているのは嬉しかった。2020/09/05
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