徳間文庫<br> 雨と詩人と落花と

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徳間文庫
雨と詩人と落花と

  • 著者名:葉室麟【著】
  • 価格 ¥748(本体¥680)
  • 徳間書店(2020/01発売)
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  • ISBN:9784198945299

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内容説明

愛を見つめ、慈しむ心を描き続けた巨星・葉室麟。その深き到達点! 九州豊後日田の詩人広瀬旭荘を描いた著者畢生の感動作!
書名は、以下の広瀬旭荘の漢詩・七言絶句「春雨到筆庵」の最終行からとっている。
菘圃葱畦(しゅうほそうけい)
路(みち)を取ること斜(ななめ)に
桃花多き処(ところ)是(こ)れ君が家
晩来何者ぞ門を敲(たた)き至るは
雨と詩人と落花なり
菘(とうな)の圃(はたけ)、葱(ねぎ)の畦(うね)の中、桃の花がいっぱいに咲いているあたりに君の家がある。夕暮れ時に門を敲(たた)いて訪ねてくるのは誰だろう。雨か詩人か散る花か。
兄の淡窓にともなわれ、初めて松子の実家を訪ねた時の出会いを詠んだ漢詩だった。
菘(とうな)の圃(はたけ)、葱(ねぎ)の畦(うね)の中、桃の花がいっぱいに咲いているあたりに君の家がある。
夕暮れ時に門を敲(たた)いて訪ねてくるのは誰だろう。雨か詩人か散る花か。

時は大塩平八郎の決起など、各地が騒然としている幕末の激動期。儒者として漢詩人として、そして夫としてどう生きるべきか。動乱の時代に生きた詩人の魂と格調高い夫婦愛を描く。

儒者・広瀬旭荘は九州・日田の広瀬家に生まれた。広瀬家は天領の日田金をあつかい、大名貸しまで行う富商であった。25歳年長の兄が広瀬淡窓。儒学者であり詩人として名を馳せており、私塾の咸宜園を開設した。
兄の淡窓は世に知られた学者であり、詩人であったが、代官所の横暴に耐えていた。しかし、旭荘は怒りを募らせた。
そのころ、旭荘は二度目の妻・松子を迎えた。時折、怒りを抑えきれず打擲する旭荘に、前妻は去っていた。
しかし、松子は心優しき詩人である旭荘の本質を理解していた。堺に遊学した旭荘は、大塩平八郎決起の時期に、江戸へ。詩人として儒学者として、どう生きるべきかを問われる。詩人の魂と感動的な夫婦愛。



幕末、動乱の時期に生きた詩人と、彼を支え続けた妻。至高の夫婦愛とは? 文中の漢詩が深い感動を呼ぶ巨星の到達点!詩人の魂と感涙の夫婦愛。
巨星・葉室麟が逝去後、刊行された2冊目の著書となった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ふじさん

101
広瀬旭荘は咸宜園の塾主として二度目の妻・松子を迎える。剛直で激情にかられ暴力をふるうこともあるが、本質は心優しき人である。彼の人生は、大坂では緒方洪庵という知己は出来たが、大塩平八郎の乱に翻弄され、咸宜園の門人だった高野長英は蛮社の獄で捕らわれたが、脱獄し行方不明、水野忠邦に見いだされ江戸に出るが、忠邦は失脚し、私塾を開いて糊口をしのぐことになる。まさに、世の中の動きに翻弄される人生。そんな中、妻の松子が病に倒れる。儒者として夫としてどう生きるべきか問われる。動乱期に生きた漢詩人と妻の夫婦愛を描い作品。2023/11/29

KAZOO

95
江戸時代の日田の儒学者で教育者の広瀬淡窓の弟で義理の息子の旭荘(教育者で詩人)の生涯を追った作品です。かなりの癇癪もちで最初の妻から愛想をつかされた主人公が二度目の妻と添い遂げるまでの夫婦愛の物語です。葉室さんにしては珍しい作品ですが大阪での大塩平八郎や緒方洪庵との出会いなどを描いてまた主人公の監視などを楽しませてくれました。2025/03/16

tamami

43
江戸後期の漢詩人として、広瀬旭荘の名は聞いたことがあるが、本書によってその生涯や作品の一端を知ることとなった。資料によれば、旭荘には『日間瑣事備忘』という二十六歳から死の歳まで書き継がれた日記があり、葉室さんは本書中に記されている『追思録』とともに、執筆の参考にされたのではないか。作品に示された旭荘の妻松子に対する思いの深さ、それを形にした行跡が、作品に散りばめられた日中の漢詩文とともに、葉室さんの手によって一枚一枚連続する墨絵のように活写され、読みながら思わず涙してしまうこともあった。比べるのも烏滸が→2020/12/27

Smileえっちゃん

40
豊後日田出身の儒者である、漢詩人の広瀬旭荘を描いた歴史小説。暴力を振るい最初の妻に逃げられ、二度目の妻松子を迎えるが、剛直で激情に駆られ、来客の前でも手をあげる、今で言うDV(家庭内暴力)とても耐えられない。そんな夫の本質を知り理解し、支え続ける松子。江戸に出ての苦労も祟り、病に倒れる。葉室作品の一途な愛を貫く夫婦の情愛と違う感があったのと、漢詩が随所に出て来て読みづらかったのですが、タイトルの「雨と詩人と落花と」が最後に出て来た時はグッと来ました。解説でも葉室さんを知る事が出来て良かったです。2025/07/16

ichi

14
帯の「至高の夫婦愛!」とあったので、期待大でしたが、旭荘の妻松子に対してのDVにまったく共感出来ず、妻の大切さに気づいたら、もう遅し!というストーリーに残念感。松子がかわいそうでならなかった。2020/01/21

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